人民網日本語版
「中国経済生活大調査(2019-2020)」の統計によると、2020年、仕事や睡眠の時間を除いた、中国人の余暇時間は1日平均わずか2.42時間と、18年と比べて25分減った。この数字が多くの人の間で論議を巻き起こしている。科技日報が報じた。
中国人の余暇の時間が少なくなっているというのは、表面に現れた現象の一つに過ぎず、その根本原因は「過労」で、危機感を抱いてそれを重視する必要がある。
「過労」に潜む危険 健康にも影響
これまで、「過労」は単に「職業上の現象」に過ぎないと考えられてきた。しかし、2019年5月、世界保健機関(WHO)は過労を「健康状態に影響を及ぼす要因」とし、「関連の病気の原因になる可能性がある」とした。その特徴としては、▽疲れてへとへとに感じる、▽精神的な面で自分の仕事から離れたいと思う、または自分の仕事に対し否定や疑いの感情を抱く、▽仕事上の効率低下、という3つを挙げた。
中日友好病院骨科(整形外科)の孫偉主任医師は取材に対して、「過労状態は日常生活においてよく見られる。特に、毎日午前9時から夜の9時まで週6日間働いている「996」の勤務状態にある人、ハードなトレーニングをしている人、勉強が忙しい高校生などによく見られる」と指摘する。
過労は体の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、複数の器官や系統にも悪影響を及ぼす可能性がある。内臓について言うと、過労により腎臓の働きが悪くなり、糖尿病を患うリスクが高まる。その他、過労の人は往往にして食事が不規則で、胃炎や胃の出血、胃潰瘍などの原因になる。
また、過労は内分泌失調の大きな原因の一つになる可能性もある。ストレスが大きくなると、副腎皮質刺激ホルモンの分泌が増え、食欲が増進する。また、不眠の原因になったり、代謝に影響を与えたりもし、摂食抑制作用のあるレプチン(LP)の分泌が減る。この2つの要素が重なり、不健康な肥満状態になり、こうした肥満は「過労太り」とも呼ばれている。
「過労太り」より深刻なのが、「過労死」だ。孫医師は、「長期にわたり過労状態になると、脳・心血管系統に悪影響が及びやすく、虚血性心疾患、心筋梗塞、動脈硬化、脳梗塞、脳出血などのリスクが増す」と警告する。
「過労」を回避する方法は?
首都医科大学付属北京友誼病院・神経内科で疲労・うつ関連の病気を専門とする劉占東主任医師は、「過労は主に、身体の疲労と脳の疲労に分けることができる。身体の疲労は、プロスポーツ選手や肉体労働者などによく見られる。普段の仕事において、運動量や労働量を合理的、かつ適度に配分し、科学的なトレーニングや適度な労働を心掛けるように」とアドバイスする。
脳の疲労は、頭を使う仕事をしている人によく見られる。そのような人は1日8時間以上仕事をすることが多く、退勤後も脳が興奮状態のままで、十分な休息を取ることができていない。その点について劉医師は、「そのような頭を使う仕事をしている人は、仕事と休養のバランスを保つことを心掛け、長時間や高頻度の残業をできるだけ避けなければならない。退勤後は仕事のことを忘れ、リラックスし、休息を取ったり、娯楽を楽しんだりしたほうがいい」とアドバイスする。
また、孫医師によると、十分な休息や睡眠を取ることのほか、栄養バランスの取れた食事をすることも必要だ。そして、自分の好みに合った運動を適度かつ科学的に行ったり、家族と一緒に過ごしたりするなど、ストレスを解消する術を身につけることも必要だ。