広州に、別れたカップル向けの「お別れ・写真館」が誕生しました。写真館が掲げたスローガンは「“別れるときは忘れずに”が礼儀です」。
「お別れ・写真館」は特別にユニークな写真館です。写真を撮るのに余計な道具など一切必要なし、あるのは撮影用の腰掛け1脚とカメラ1台。あとは黒い厚めのカーテンが1枚。他に、撮影室の隅に写真レコーダーと写真プリント用テープ1ロールが置いてあるだけです。「お別れ・写真館」に来るのは20代、30代の若者が中心、ほとんど1人で写真を撮りに来る人が多いようです。写真を撮って、お別れを告げるのです。
ある女性客は「このお別れ写真館に入るには勇気がいます。私を含めてほとんどの人は、時間とともに思い出もすべてが薄まっていくことを望んでいます。別れの傷は時間に覆われていくだけで、傷跡はまだそこにあるのです。時間はすべての人を治愈することはできません。ここに来る目的は“安らぎ”です。安らぎを与えてくれる機会が欲しいのです。ほかにはありません。」
「お別れ写真館」は今年3月開館以来、百万人もの人々の注目を集めています。撮影に来る男女の多くはネットで情報を見つけてやってきます。恋人に「お別れ」を告げる人が一番多いのですが、故郷や友人に「お別れ」を告げる人もいるようです。
「お別れ写真館」の撮影室は何の変哲も無い普通の部屋。太陽の光は黒い厚めのカーテンで遮られ、柔らかな写真灯だけが被写体の顔を優しく照らしています。「お別れ写真館」を心を癒やす特別な治療室とすれば、「お別れ写真撮影」は治療のプロセス。自らの「傷あと」を写真で暴いて、過去を見つめて真剣に恋に別れを告げる治療のようです。“治療=撮影”を終えて、ほとんどの人は「すっきりしました。気持ちが楽になりました。」との感想と述べています。
但し、「お別れ写真館」から出て、完全に元カレ・元カノからフェードアウトした人もいれば、撮影直後に、元恋人に電話をする人もいます。元カノが撮影しネットで公開した写真を元カレが見つけて復縁することになったカップルもいます。まさに「人生いろいろ」のようです。