今年は長江流域で大洪水が発生するか?

人民網日本語版

第1号洪水が発生 長江流域は警戒態勢に

最近の強い雨の影響で、長江の2020年第1号となる洪水が2日に上流で発生した。現在の長江の様子はどうか。今年は流域で大洪水が発生するだろうか。新華社が伝えた。

水利部(省)長江水利委員会水文局党組織の陳敏書記は、「全国主要河川の洪水認定標準に達したため、長江の2020年の第1号洪水が認定された。これは長江流域が警戒態勢に入ったことも意味する」と述べた。

同委洪水干ばつ災害防御局の寧磊副局長は、「例年に比べ、梅雨入りが早かったのが今年の長江の出水期の最大の特徴だ。5月29日の梅雨入りは、例年より10日早く、流域に大洪水が発生した1954年と比べても、2日早い。次の特徴は、降水量の多さだ。6月以降、長江流域の降水量は長年の平均値より20%多く、うち中上流は10%多く、中下流は30%多い」と述べた。

寧氏は続けて、「5月中・下旬に降水量が少なく、水量が少なくなかったら、今年の洪水対策にかかる圧力はさらに大きかっただろう。5月末には、長江中下流の主流と2つの湖から長江へ流出する出口のコントロールステーションの水位は過去30年間の平均値より1-2メートル低かったが、今は全面的に1-2メートル高くなっている」と述べた。

現在の長江流域の洪水状況を踏まえ、同委は2日午前11時に水害干ばつ災害防御Ⅳ級緊急時対応メカニズムを発動した。同時に、第1号洪水に対処するため、長江三峡水利ターミナルを調節して現在の放水量を維持し、洪水のピークをカットして洪水を防ぎ、ピークカット率は約30%となった。

第1号洪水が襲来し、主流の洪水対策が緊迫している。実際、支流と中小河川には早くから洪水警報が発動されている。

同委水文局長江水文情報予報センターの楊文発副センター長(正シニアエンジニア)は、「流域の一連の中小河川で対策の規模を上回る洪水や歴史的な洪水が相次いで発生し、土石流災害や都市部の内水がたびたび起きていることは、今年の長江流域の雨の特徴と切り離せない」と述べた。

楊氏の説明によると、「今年は、特に6月は、長江が大雨になり、降水量は多く、雨雲の動きは速く、雨の範囲は広く、大雨の極値が突出するなどの特徴がみられた。こうした特徴から大雨の降る地域が持続的に集中するということがなかなかなく、大雨洪水が重なったり主流と支流にそろって洪水が起きるという現象はみられず、そのため今年はまだ深刻な洪水は発生しておらず、局地的に洪水災害が起きても長江の主流は相対的に穏やかな状況が続いている」という。

しかし状況がこうだからといって、長江主流の洪水を心配しなくていいというわけではない。陳氏は、「長江の洪水対策はまだ重要なタイミングにはさしかかっていない。流域に大規模な洪水が発生する可能性は依然として存在する」と警告した。

同委が今年4月に打ち出した出水期中長期予測によれば、20年の長江流域の気象の年間の偏差の状況は、地域的に大規模な洪水が発生する可能性が大きく、さらに流域で大規模な洪水が発生する可能性もあるという。気象・水文の現状と補助的分析を踏まえ、同委は現在こうした判断を維持している。

洪水対策の専門家は、「長江流域は、特に湖北省は新型コロナによる影響が大きく、災害への対抗力が弱まり、洪水対策をする十分な時間がなく、難易度は高く、洪水対策の取り組みは例年にない難しさだ」と指摘した。

寧氏は、「長年の努力を経て、長江流域全体の洪水災害への対応力は目に見えて向上し、堤防を基礎とし、三峡ダムを中心とするプロジェクト措置と非プロジェクト措置を組み合わせた総合的な洪水災害への防災減災システムが基本的に構築された」と述べた。

説明によると、これまでに長江の3900キロメートルに及ぶ主流の堤防が長江流域総合計画が確定した洪水対策標準に従って標準をクリアして建設されたと同時に、コントロール型のダムを中心とする洪水対策ダムクラスターが形成された。三峡ダムプロジェクトを含むコントロール型のダム40基の洪水調節容量は574億立方メートルに達し、長江の洪水対策の最も効果的で、最も経済的で、最も柔軟性のある武器となっている」と述べた。

このほかにも、水害干ばつ災害の防御対策部門がモニタリング予報警報などで努力を重ねている。楊氏の説明によれば、「長江流域の3万ヶ所を超える水・雨状況観測ステーションの情報に基づき、気象衛星、気象レーダーからの観測情報と合わせ、長年にわたり絶えず強化され応用されてきた先進的な水文・気象予報技術と結びつけて、短期的な洪水予報はほぼ実情に即したものとなり、さらにスマート洪水対策予報調節システムを利用して、3-5分で一連の調節プランを打ち出せるようになり、長江主流の水位調節はより精確になった」という。