中国・東北地方の人にとっては、お酒に因んで「干」(カン/乾杯の略語)という独特な言い回しがあります。乾杯して半分しか飲まない相手に「がっかりするよ」という意味と「(飲み干さなくても)半分だけ飲んでいいよ」という思い遣りの意味が同居する言い回しです。
東北地方の自然環境と文化が合間って、東北人の熱烈で豪快な性格と広い懐を形成してきました。東北の冬は厳しく、最低温度は零下40度以下にもなります。酒を飲んで極寒に堪える習慣は東北独特の酒文化を醸し出してきました。東北人は確かにお酒に強い。ただ、内モンゴルやチベット、もしくは貴州省や山東省などの地方に比べると、酒量の上では、東北人はそんなに多い訳ではありません。東北人のお酒は飲み方とその曰くに特色があります。
どんぶりで酒を飲む、どんぶりで肉を食べるという少々豪快な習慣が東北人の義侠心・楽観的な人生感に繋がっているとも言われています。酒文化への忠誠心か、酒そのものへの愛情か、いずれにしても、東北人には酒好きな人が多いのは事実です。東北の酒文化は、厳しい気候の他、民族の融合・民族の移動に深く関わっています。多くの魯人(山東省の人々)が関東(東北地方)へ移動してきた歴史的事実、魯人の酒文化が東北地方に根付き、経済発展とともに、酒文化が深まり東北で進化を続けてきたと言われています。
東北の人は豪快、小さなことに拘らないで、少々大雑把。客好きで、お客さんとアルコール度数の高い酒を飲むことが大好き。豪快な酒の飲み方と肉の食べ方は、南方出身の中国人にとっても唖然するほど、香港や広州、上海でも考えられないものです。円卓テーブルを囲んで、アルコール度の高いお酒を一杯持って、一気で飲み干す中国人はほとんど東北の人、これこそ東北酒文化の特徴の一つです。
因みに、毎年中国当局から発表されるデータによると全国で飲酒運転違反の多い都市(ワースト10)には、ハルビン、長春、瀋陽、、、東北地方の主要都市がいつも上位にランクインしています。これはちょっといけません。飲むなら乗るな・乗るなら飲むな。飲酒運転は日中共通の大敵。