今、中国では、休暇といえば旅行、旅行で一番人気のあるのがマイカー旅行です。ある山岳部のハイウェイをマイカーで旅行するには通行証が必要です。通行は管理されていて“マイカー入山”は厳しく制限されています。外国人の場合1人でドライブするのは禁止、ただし中国人の同行者あればOKです。
周りの環境や気候も厳しく、クルマで走っていても非常に危険なため、道路には多くのチェックポイントが設置されていて、中国の住民でも身分証明書を提示しなければ通過できません。香港・マカオの住民であれば通行証発行の手続きで一人でもドライブできますが、外国人観光客が1人でこの高速道路をドライブすることは許されません。外国人ドライバーに何かあった場合、言葉の問題もあって緊急連絡を考えても、中国人と一緒に行動する方が安全という考えです。(国家機密とか、そういう類の話ではありません。)いずれにしても、この“恐ろしげな”山岳道路こそが有名な「川蔵ハイウェイ」です。
川蔵ハイウェイは南北2本の路線に分かれています。北線の全長は242キロ、ハイウェイの最高点は海抜5050メートル(雀児山の山頂付近)、南線の全長は2146キロ、最高点は海抜4014メートルの理塘(山脈草原)を通ります。川蔵ハイウェイができるまでは、クルマが通行可能な道路は一本もなく、ラサから四川省の成都まで、或は青海の西寧まで一往復するには馬かロバとともに風雪と寒さの中、半年から一年かかる大変苦しい旅となっていました。川蔵ハイウェイができてからは片道3日間、チベットと内陸あいだの所要時間は大幅に短縮されました。川蔵ハイウェイ沿道の景色は絶景ですが、美しさの中には数多くの危険も潜んでいます。
中でも超有名な危険地帯は理塘(山脈草原)、海子山、雀児山、昌都、瀾滄江、怒江など。道路を一歩でも外れるとそこは底知れない谷底、路傍にはガードレールも何もない場所も続きます。特に雪の季節!どこまで道路で、どこからが谷底か、誰にもわからない。。。外国人でも中国人でも、どんなハイテク高級車でも、装甲車であっても、わかった時はもう遅いのです。この道は恐ろしく危険。ドライバー全員が危険運転致死傷寸前です。それでも人は危なすぎるドライブがやめられない。毎年毎年、驚くほどの数の観光客がドライバーとなって川蔵ハイウェイを飛ばしてラサに向かっています。綺麗な薔薇には棘がある。恐ろしいほど美しい川蔵ハイウェイは本当に恐ろしい。どんなに安全運転しても危険運転。日本のドライブ皆さん、一度、川蔵ハイウェイ・ドライブにおいでになりませんか。助手席に綺麗な中国人がいてもいなくても大丈夫。いずれにしても極楽浄土は間違いなさそうです。