人民網日本語版
「一番恋しい道ばたの屋台は何?」をたずねるネット投票で、焼肉、中国風クレープ、マーラータン(麻辣湯)が圧倒的な票を集め、果物や野菜、携帯電話の保護フィルムなどは順位がはるか下の方だった。中国新聞網アプリが伝えた。
そして今、道ばたの屋台が帰ってきた。
注目を集める屋台経済
2020年の「政府活動報告」では、「雇用を安定させ、収入を増やし、民生を保障することを通じて、国民の消費意欲と消費能力を向上させる。外食産業、商業施設、文化、観光、家事サービスなど生活に関わるサービスの回復発展を支援する」ことが提起された。
路上の屋台に真っ先にゴーサインを出した四川省成都市は、李克強国務院総理の注意を引いた。李総理は5月28日に行われた記者会見で、「中国の西部の都市では、現地の規範を踏まえて、移動式屋台3万6千軒を設置し、その結果、一夜にして10万人の雇用が生まれた」と述べた。
中央精神文明建設指導委員会弁公室はこのほど発表した文章の中で、今年は道路を占拠して行う経営活動を文明都市の査定内容に組み込まないことを明確に要求した。
このニュースが流れると、ただちにネットの人気検索ワードになった。「みんなの楽しみがもうすぐ帰ってくる、待ちきれなくてノドがゴクリと鳴るのをお許しください」「最高!また屋台で食べられる!」「道ばたに小さな店や屋台がないと、本当に活気がなくて寂しい」といった声が聞こえたほか、多くの人が、「道ばたの屋台こそ街の魂そのもの!」と発信した。
5つ星ホテルも屋台を出した
道ばたの屋台経済に目をつけたのは成都だけにとどまらず、湖北省の武漢市も目をつけた。武漢では、5つ星ホテルが相次いで道ばたでの屋台経営に乗り出した。
武漢の有名5つ星ホテルは入り口前の広場にテーブルをずらりと並べ、屋台を始めた。焼肉のライブには、多くの市民が集まり、それを楽しんでいる。
別の5つ星ホテルも入り口の前に朝食の屋台を出した。それからすぐに焼肉も売り始めた。同ホテル飲食部の副マネージャーはメディアの取材に対し、「5つ星ホテルにとって、朝食、午後のお茶、夜食の売り上げは新型コロナウイルス感染症の前とでは比較にならないが、従業員を動かし、ホテルが経営状態を維持することで、やる気をかき立てることができる」と話した。
また同副マネージャーは、「ホテルが絶えず新しい経営プロジェクトや経営モデルを試みているのは、非常時に生き残りを図るための持続的な試みだ」と述べた。
最近、多くの都市が屋台経営を許可した。浙江省杭州市は一部の道路を屋台業者の経営場所として開放し、河南省の許昌市は裏通りや横丁の一部を開放し、業者に縁石より上の場所で商売をするようにさせた。南京は臨時の屋外屋台1千軒あまりを統一的に計画した。
ここ数年、道路を占拠して行う経営活動、許可証なしで行う経営活動は景観の悪化や食品の安全性の問題などを引き起こすため、屋台経済はこれまでずっと地方政府に歓迎されていなかった。しかし現在、地方政府は屋台経済を再開すると同時に、起こる可能性のある各種のリスクや問題についても対応する政策を打ち出し、特定エリアの制定から、屋台エリアの安全・予防、業者や屋台オーナーの衛生管理まで、さまざまな手を打ち出した。
合理的で有効な管理を通じ、屋台経済はもしかしたら経済的価値を創造するだけでなく、都市のソフトパワーを構成する要素になる可能性もある。
全国人民代表大会(全人代)の代表を務める楊宝玲氏は、「各地の状況に合わせて適切な措置を取り、屋台経済の活力を最大限に発揮すると同時に、統一的な屋台経済の参入許可基準、経営資格・条件、商品の市場進出の手続きを制定し、資格証明書や許可証を発行するなどのやり方で、屋台経済とその従事者に合法的な地位を与えるべきだ」と提起した。
これまでの実施過程での道路を占拠して行う経営活動がもたらす交通や食品の安全性に関する一部のリスク、街の景観と環境や衛生に及ぼす影響などの問題を効果的に規範化するために、成都は先月28日に「都市管理の『8項目メカニズム』を構築しソフトマネジメントサービスを深化させて『6つの保障』任務の着実な実施に助力を提供することに関する意見」を発表し、「一時的に道路を占拠して屋台を出す時はどこに出してよいか。いつ出してよいか」といった問題に答えた。
屋台経済を規範化するため、奇抜なやり方を打ち出す地方もある。例えば、成都市武侯区では、屋台オーナーの手元に番号入り「グリーンカード」がある。カードには経営場所と営業時間が明記され、責任と義務も明確に記されている。オーナーの1人は、「このカードを受け取ってから、自分の衛生状態に責任をもつ必要があるし、好き勝手に店を出すわけにはいかない」と話した。
河南省鄭州市は日付で出店を規制する。同市は先月30日に健康路の夜市を復活させたが、感染症対策のため、人の流れを規制する以外に、店側には奇数番号と偶数番号で出店を規制する措置を取り、奇数日には奇数番号の屋台、偶数日には偶数番号の屋台が出店し、屋台同士の間隔は2メートル以上空けることとした。
鄭州市では、「今回の政策は、時代の流れに応じて変化したものだが、関係方面が考え直したり、働き方を変えたりする契機にならないとも限らない。活気と秩序は両立できる」という声も上がっている。