中国有人深海潜水艇、海底1万メートルの「人類未踏ゾーン」に挑む

人民網日本語版

7000メートル級有人潜水艇「蛟竜号」(資料写真)

世界の水深6000メートル以上の海溝は37本ある。こうした海溝は超深海海溝と呼ばれている。これらは世界の海洋において、ほぼ人類の手が届かないあまり知られていない場所だ。マリアナ海溝を含む最も深い9本は西太平洋にあり、うち水深1万メートル以上は5本ある。科技日報が伝えた。

全水深有人潜水艇は1万メートル級有人潜水艇とも呼ばれる。中国の1万メートル級有人潜水艇は今年、マリアナ海溝の最深部「チャレンジャー海淵」を探る。深海という舞台で「大作」が上演されようとしている。

深海進出は容易なことではない。まず、海水による高圧という問題がある。7000メートル級有人潜水艇「蛟竜号」は水深7000メートルで700気圧を受ける。1万メートル級有人潜水艇の場合、さらに4000メートル以上潜水するため、400以上の気圧をさらに受けることになる。これは1平方メートルの面積あたりに1万トン以上の重い物をのせるようなものだ。これほど大きな圧力が潜水艇にかかるため、潜水艇の材料や構造設計などにとって大きな試練となる。

強い水圧に耐えるほか、潜水艇はさらに関係者や一連の科学設備などを乗せ、水中で科学観測作業を完了しなければならない。これは1万メートル級有人潜水艇の製造の難易度をさらに上げてしまう。

中国船舶集団有限公司七〇二研究所副所長で、1万メートル級有人潜水艇チーフデザイナーの葉聡氏は取材に対し、「1万メートル級有人潜水艇が世界の海洋の海域をフルカバーする作業能力を持つのは、有人潜水艇の球殻や浮力材料など9大キーテクノロジーによって支えられているからだ」と説明した。

例えば潜水艇のメイン構造の一つである球殻は、設計・製造面で限界に挑んだ。1万メートル級有人潜水艇の有人球殻はチタン合金材料を採用しただけでなく、科学研究者は大胆にも既存の設計を覆し、従来の溶接方法を改めた。技術的にさらに難しくなったが、信頼性が大幅に向上した。