民間主導の日中佐官級交流が6年ぶりに再開された。中国中央軍事委員会国際軍事協力弁公室副主任・慈国巍(じこくぎ)少将率いる人民解放軍の幹部ら計25人の佐官級訪日団が、4月15日から1週間の日程で日本を訪問している。軍事交流の再開は、日中関係の改善ぶりを反映している。
この事業は笹川平和財団、笹川日中友好基金が2001年に始めた。相互の信頼を育み、国防に携わる若手幹部に対話と交流の機会を提供することが目的だ。防衛省、中国人民解放軍、中国国際戦略学会が協力し、自衛隊と人民解放軍の佐官級を毎年相互に派遣してきた。01年から12年までの11年間で、日本側から126人が訪中し中国側から207人が訪日した。期間10日から12日間ほどで、主に相手側の高級幹部、陸空海部隊、軍事関連教育研究施設などを訪問する。また、安全保障分野の状況について理解を深めるため、政治・経済・社会・文化・歴史など幅広い分野について研修を行う。
団長に少将級を派遣したことが、中国の対日関係重視の姿勢を示している。中国側は日中平和友好条約45周年を機に、今回の王毅外相と5月の李克強首相の来日、さらには年内の首相訪中など両国指導部の相互訪問を通じた関係改善の推進に期待している。
笹川平和財団の笹川陽平名誉会長は17日に都内で開かれた歓迎レセプションで、「交流事業の6年ぶりの再開は、中国側が日中交流を大いに重視している表れだ。この交流が関係改善に役立てばいいと思う。また、日中間で自然災害救援の協力関係を結びたいと申し出たところ、快く応じてくれた。災害救援については民間ではなく政府・軍のレベルで取り上げ、日中首脳会談の際にもこの問題を取り上げてほしい」とあいさつした。
同会長が別の席で明らかにしたところによると、日中関係が険しい環境にあった時期には非公式の席でも日本語を使いたがらなかった知日派の王毅外相が今回の訪日中、気軽に日本語で話し掛けていた。また通訳の日本語に「それはどうかな」と微笑みながら応じるなど、日中間の雰囲気が大きく改善したことをうかがわせる場面もあったという。
慈国巍少将は「日中関係が改善に向かう中、第11回青年幹部代表団がこの美しい日本を友好訪問でき大変うれしい。今年は日中友好条約締結40周年という記念すべき年である。私たちは『水を飲むときに井戸を掘った人のことを忘れない』ということを、さらに胸に刻むべきだ。習近平主席が指摘するように『国の交わりは民の相親しむに在り』、つまり日中友好の基礎は民間にあり日中関係の未来は両国民の掌中にある」と述べた。
防衛省の羽渕博之防衛課長(一等海佐)は会場外での取材で、「日中間には解決が必要な問題も少なくない。しかし、だからこそ信頼関係を強め、各段階において交流すべきだ」と語った。
訪日団は18日午前に防衛研究所を訪問し、国会議事堂を見学した後仙台へ。19日は陸上自衛隊の仙台駐屯地、20日は航空自衛隊浜松基地を視察。21日、京都で日本の歴史と文化を学んだ後、22日に帰国の予定。日本側は、自衛隊の佐官級幹部を今秋にも中国へ派遣する見通し。
文:李海(写真も)
バナー写真:笑顔で握手する慈国巍少将(左)と防衛省の羽渕博行防衛課長
(nippon.comより)