日本の中華料理店のような甘辛な味付けではない。
パンダの故郷として知られる四川省は、過激な辛さで有名なグルメの地でもある。中国では唐辛子、山椒、塩と辛さもバラエティに富むが、四川は山椒のピリッとした辣(ラー)の魅力。
同省の省都、成都で地元の人達が集まる料理店に足を運んだ時の体験を日本人夫婦の旅行者が話してくれた。この店は火鍋が売り物の人気店だ。店に入り、火鍋を注文した。辛い順に火鍋のスープが激辣、中辣、微辣であることが、メニューに書かれていた。
ランチタイムなどは行列ができる陳麻婆豆腐店
せっかく四川に来たのだからと、激辣を注文したら、日本人と分かわり、「激辣はとても食べられないよ」と手振りで注意された。それなら中辣とメニューを指さしたが、結局微辣に落ち着いた。
やはり辛い。大げさにいえば、口の中で炎が燃え上がるようだ。しまったと思ったがもう遅い。白飯とお茶を流し込み、何とか乗り切った。しかし、美味しかったことには間違いない。
さて、翌日、地元の友人に連れられ、ガイドブックにも載っている陳麻婆豆腐店に行った。麻婆豆腐を食べずして、四川に来ることなかれと勧められたからだ。昨日のこともあり、不安だったが、友人がある飲物を一緒に飲めば辛さが和らぐと教えてくれた。
成都の街ではこんな店も。いかにも辛そうな看板
それは豆乳だった。大きなガラス容器に入った常温の豆乳をグラスに次ぎ分けガブガブ飲む。これが麻婆豆腐の旨さを引き立てるのだから不思議。人によっては、オレンジジュースが合うという。
中国に旅して、料理が口に合うと喜ぶ日本人は多い。ただし、辛い料理に閉口したという。そうした際の豆乳は隠し玉であり、食に貪欲な中国人の知恵なのだろう。
微辣の火鍋でも、ピリピリする味わい