- 14年間のBMS生産ノウハウを適用…業界初の800V無線BMSを開発
- 無線通信の必須部品を一つのモジュールに実装…すべての通信チップ互換可能
- 通信性能の事前検証システムを構築…顧客企業の利便性強化
- 「差別化された顧客価値を提供し、トータル・ソリューション・プロバイダーの立場を拡大」
【ソウル(韓国)2023年2月10日PR Newswire】LGイノテック(代表 チョン・チョルドン)は、バッテリー性能を大幅に改良した無線バッテリー管理システム(Wireless Battery Management System、以下「無線BMS」の開発に成功したことを9日発表した。
電気自動車の必須部品であるBMSは、バッテリーの電圧・電流・温度などをリアルタイムでモニタリングし、バッテリーの性能と寿命を最適化する制御システムだ。
今回、LGイノテックが開発した無線BMSは無線周波数(RF)通信チップ、アンテナなど無線通信のために必須実装の部品を一つのモジュールに結合したRF通信モジュールを世界で初めて採用した製品だ。この製品でLGイノテックは、急成長中の無線BMS市場を先取りする競争力を立証したという評価を得ている。
無線BMSの一番のメリットは車両の軽量化だ。BMSとつながっていたケーブルを取り出すと、車両の重量が30~90kg減少する。数十本に達していたケーブルとコネクタがなくなり、バッテリーパックの重量はもちろん、体積まで低減することができるからだ。
また、バッテリーパックの空き領域が10~15%追加確保され、バッテリー容量を増やすこともできる。つまり、電気自動車の走行距離をさらに伸ばすことができるようになった。無線BMSを適用すると、電気自動車の走行距離が最大20kmまで伸びることが確認された。空き領域を活用してバッテリーパックの構造変更など、バッテリー設計の柔軟性が強化されたことも無線BMSの付加価値を高める要素だ。
これだけでなく、無線BMSの導入で製品の信頼性も一層高くなる。車両の振動などによるケーブル、コネクタの欠陥が発生することが完全になくなるからだ。これと共に複雑なケーブル接続のために手作業で行われていた有線バッテリーパックの組立作業もロボットで自動化できるようになり、コスト削減の効果まで得ることができる。
このように様々な理由で無線BMSは、電気自動車及び自動運転車のコア部品として浮上し、グローバル完成車メーカーから注目されている。
- 14年間のBMS生産ノウハウを適用…業界初の800V無線BMSを開発
LGイノテックは、14年間以上蓄積してきたBMSの生産能力と独自の無線通信モジュール技術間のシナジーを基盤に、差別化された顧客価値を提供する無線BMSを開発した。
LGイノテックの無線BMSは、商用化された製品の中で最も電圧が高い800Vだ。これに先だって、LGイノテックは2020年に800Vの有線BMSの開発に成功している。電圧が高いほどチャージ時間が短縮されるため、国内外の完成車メーカーは電気自動車の電圧システムを800Vに切り替える傾向にある。
電気自動車のバッテリーデータを無線で送受信するには、RF回路、RF通信チップ、アンテナなど数十個に達する部品を従来のBMSに実装する必要がある。
既に発売されている従来の無線BMSの場合、このような部品をPCB基板に一つ一つ取り付ける必要があった。このため、製作工程の所要時間が長く、製品のラインナップ拡大のための開発負担も大きかった。
一方、LGイノテックは高精度・高集積・高多層の基板技術を活用して開発したRF通信モジュールを無線BMSに初めて採用した。RF通信モジュールは4層に達する多層基板で構成されており、ここに無線通信部品をコンパクト(compact)に集積した。このおかげでバッテリーパックの装着に、より簡単な構造の無線BMSを開発した。
何よりもLGイノテックの無線BMSに搭載されたRF通信モジュールは、現在商用化されているすべてのタイプの無線BMS用通信チップを互換適用できるように設計された。このような互換性のおかげで、LGイノテックの無線BMSは顧客企業のすべての電気自動車の車種に簡単に適用できる。LGイノテックが初期段階のグローバル無線BMS市場を先取りするのに有利な立場を確保したという分析が出ている理由もここにある。
- 通信性能の事前検証システムを構築…顧客の利便性強化
さらにLGイノテックは、バッテリーパックの開発段階で無線通信の品質に対する仮想検証を独自で実行するシミュレーション技術を業界で初めて構築した。
LGイノテックの仮想検証結果は、無線BMSの通信品質が実測比95%以上一致することが明らかになり、有効性が立証された。このように事前技術検証を済ませた製品を供給するために、技術性テストを別途依頼しなければならない完成車及び車両部品メーカーの煩わしさもなくなった。
- 「差別化された顧客価値を提供し、トータル・ソリューション・プロバイダーの立場を拡大」
LGイノテックは、2024年に無線BMSを本格的に量産する予定だ。このため、今年上半期から国内外の主要完成車メーカーを対象にプロモーション活動を積極的に推進し、市場の先取りに拍車をかけるという戦略だ。また、今回確保した技術を応用し、無線電気自動車のチャージ用コントローラー(EVCC)の開発も進める計画だ。
業界によると、主要グローバル完成車メーカーは、2024年から無線BMSを本格的に導入する見通しだ。これに伴い、2022年時点で9億円に過ぎないグローバル無線BMS市場規模も2028年には1兆3,000億円の規模に大幅成長すると予測されている。
ユ・ビョングク電装部品事業部長(常務)は、「差別化された顧客価値を提供する次世代の電装部品を継続的に発表し、次世代の電装部品トータル・ソリューション・プロバイダー(provider)としてグローバルの立場を継続的に拡大していく」と話した。
[用語説明] BMS(Battery Management System):電気自動車の必須部品であるBMSはバッテリーの電圧、電流、温度などをリアルタイムで管理し、バッテリーの性能と寿命を最適化する制御システムだ。BMSがバッテリーセルからデータを受信すると、車両の電子制御ユニット(ECU)プロセッサがバッテリーセルの状態に応じて電力供給と引き出しを調整する。これまで生産された電気自動車に搭載された製品は、ほとんどが有線BMSだ。バッテリーパック内部の複数のBMSは銅製ケーブル(ワイヤーハーネス)に接続されている。このため、ケーブルとコネクタがバッテリーパックで占める体積と重量が相当なものだ。
ソース:LG Innotek
(日本語リリース:クライアント提供)