中国の経験から見る人工知能による感染対策

人民網日本語版

新型コロナウイルスの感染対策は全人類の協力が必要で、特に新技術の活用が重要になる。中国の感染対策において、人工知能(AI)技術が大きな役割を果たした。中国は政府機関から産業界まで多くの努力を払ってきた。その一部の革新的な成果と経験は他国の参考になる。(文:北京智源人工智能研究院倫理・安全研究センター・曾毅センター長、研究員・孫康。環球時報に掲載)

(1)ビッグデータ分析を含むAI技術は、新型コロナウイルスによる肺炎の潜在的な感染流行の予測に使用できる。例えば交通運輸部(省)は中国移動(チャイナモバイル)などの通信企業が人々の動きに関する情報を提供し、人々の移動に対する大規模な管理・制御に重要なデータの基礎を提供した。同様のことは他国も参考にできる。

(2)新型コロナウイルスとその他のコロナウイルスの遺伝子配列の分析を踏まえた上で、ディープラニングモデルを利用しウイルスの潜在的な宿主を予測できる。

(3)薬品開発、特に新薬のスクリーニングにはAI(特に機械学習、知識表現、ビッグデータ分析)の力強いサポートが必要だ。華中科技大学はファーウェイクラウドと事業提携し、市販または臨床試験における8506種類の薬品のスクリーニングを行っている。ファーウェイクラウドは生物製薬機関に関連サービスを提供できる。

(4)AIはさらに新型コロナウイルスの診断サポート、特にCT画像自動認識及びウイルス検査で広く応用されている。アリババ達摩院は2月までに3万人以上の疑いのある患者のCT画像判断を完了し、正確率が96%に達した。かかった時間はわずか20秒。

(5)スマート自動対話システムを通じ、ロボットは患者と医療従事者の一対一の接触を減らせる。アリババ達摩院はスマート受け答えシステムを発表した。報道によると、問題解決率は92%にのぼる。百度はスマートコールプラットフォームを発表した。北京市、西安市、上海市などにおけるコール回数は100万回にのぼり、データ収集やコミュニティ住民または看護が必要な特定の人々に対する通知・指導に用いられている。新型コロナウイルスによる肺炎の患者を収容する多くの病院において、ロボットは薬品の配布、食料品及び日用品の配布、治療状況の記録、さらには消毒・殺菌のリアルタイムの記録などに広く用いられている。

(6)AIを基礎とする自動監視は各シーンで広く応用され、潜在的なリスクを特定・制御する。自動検温器と追跡システムは地下鉄、駅、空港、社会サービスセンターなどに設置され、発熱者を確認・追跡し、必要な措置を講じサポートを提供する。人々全体の評価やスクリーニングについて、「健康コード」は杭州市から始まりすでに全国の大多数の省・直轄市で広く活用されている。現在「インターネット相互認証」により、全国の圧倒的多数の地域の「健康コード」の相互認証が実現されている。