温室効果ガス排出量が最少のスニーカーを開発
神戸、日本, 2022年9月16日 /PRNewswire/ -- 株式会社アシックス(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長CEO兼COO:廣田康人)は、このたび、温室効果ガス(カーボンフットプリント)排出量を最も低く抑えたスニーカー「GEL-LYTE III CM 1.95(ゲルライトスリーシーエム1.95)」を開発しました。これは、アシックスが掲げる2050年までに事業における「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた最新の取り組みです。本スニーカーの温室効果ガス排出量はわずか1.95kg CO₂eで、現時点で温室効果ガス排出量が公表されているスニーカーのなかで最少です※1。
Significantly lighter than the lowest CO2e sneakers currently available on the market, the ASICS GEL-LYTE™ III CM 1.95 is a major leap forward by ASICS in its commitment to achieve net-zero emissions by 2050.
この取り組みは、2010年のアシックスとマサチューセッツ工科大学(アメリカ合衆国)による、製品ライフサイクルから排出される温室効果ガス排出量の測定、および温室効果ガス削減方法に関する分析と改善策に関する共同研究から始まりました。そこで得た知見をもとに研究を重ねた結果、製品ライフサイクルにおける4つの主要段階である材料調達と製造・輸送・使用・廃棄で温室効果ガス排出量の削減策を特定し、材料調達や工程を改善することで、商品の快適さや品質を損なうことなく、さらに高いレベルのサステナビリティを、温室効果ガス排出量が最少のスニーカーとして実現しました。
温室効果ガス削減に向けた数々のイノベーションの中で、特に力を入れたことは、スニーカーのミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)と中敷に使用しているカーボン・ネガティブ・フォーム※2の開発です。サトウキビなどを原料とした複数のバイオベースポリマー※3を配合することで、実質温室効果ガス排出をマイナスに保ちながら、履き心地が良く品質を損なわないフォーム材が完成しました。
主要なアッパー(甲被)と中敷には、環境負荷の低いソリューションダイという技法で染色したリサイクルポリエステルを使用しています。2030年までに100%リサイクルポリエステルに切り替える当社の目標を反映しています。また、アッパーの補強パーツには、廃棄ロスの少ないテープ形状パーツを必要量のみカットし、折り返すなどして効果的に配置しています。これにより材料の廃棄を最小限に抑えつつフィット感やサポート性を確保しました。
そのほかに、製造工程における再生可能エネルギーの利用、バイオ燃料を使った輸送や委託先工場でのリサイクル施策などがあります。
今回の新しい取り組みは、アシックスが掲げる「2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロ」を実現するための重要なマイルストーンです。今後も将来世代にわたって安心して運動を続けられる健やかな地球環境を守り、また、スポーツによる心の充実を感じてもらうなど、人々の心身の健康が実現できるよう環境と社会に配慮した事業活動に取り組んでいきます。
※1 2022年9月現在、製品ライフサイクルにおける温室効果ガス排出量が開示されている市販シューズ
を対象としたデータに基づく。
※2 サトウキビ由来の原料を活用しています。サトウキビの成長過程でのCO₂吸収量などがCO₂排出量の
マイナス要素となり、その量がフォーム材作製に必要なプロセスに由来するCO₂排出量よりも大きい
ため、フォーム材としてカーボンネガティブを実現しました。
※3 カーボン・ネガティブ・フォームには、株式会社クラレのサトウキビなどを原料にしたバイオベース
ポリマー、セプトン® BIO-シリーズを一部使用しています。
〇株式会社アシックス 代表取締役社長CEO兼COO 廣田康人のコメント
アシックスは、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学に掲げ、スポーツと人々の心の間には、強いつながりがあると長年信じてきました。私たちは、健全な身体と精神を実現するには健やかな地球環境が不可欠であると考え、将来世代も私たちと同様にスポーツを通じて心の充実を感じることができるよう、地球の長期的な存続に真剣に取り組んでいます。「GEL-LYTE III CM 1.95」は我々のこうした思いを体現しています。
今回の発表が「2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けて、スポーツ業界に真のポジティブな変化をもたらす一助となることを願っています。
〇株式会社アシックス サステナビリティ統括部長 吉川美奈子のコメント
アシックスは、バリューチェーンにおいて環境負荷を軽減するための、さまざまな取り組みを探求してきました。その中でも、「GEL-LYTE III CM 1.95」は重要なマイルストーンです。しかし、これはほんの始まりにすぎません。今後は、この製品で挑戦した温室効果ガスの削減施策や学びをより多くの製品で展開し、また、さらに進化させていきます。
〇マサチューセッツ工科大学担当教授※4のコメント
シューズの開発において、10年以上前のアシックスとの共同研究がこのような劇的な改善につながったことを大変うれしく思います。2012年に発表した共同研究を受けて、アシックスは製造工程における温室効果ガス排出量削減、材料の使用効率の向上、そして低環境負荷素材への切り替えなどさまざまな施策に取り組んできました。さらに、同社が製品の温室効果ガス排出量の算定方法を洗練し、改善したことにも感銘を受けています。アシックスは、温室効果ガス排出量の算定に適用されるデータ収集の広さと深さの両面において、対象範囲を拡大しました。今回の研究結果と研究によって得られた知見が、製品の環境負荷を理解する他の企業を後押しすること、そしてよりサステナブルなスポーツ業界が実現されることを願っています。
※4 Elsa Olivetti (Esther and Harold E. Edgerton Associate Professor in Materials Science and Engineering, Massachusetts Institute of Technology) Randolph Kirchain (Principal Research Scientist, Materials Research Laboratory, Massachusetts Institute of Technology)
〇「GEL-LYTE III CM 1.95」の展開について
「GEL-LYTE III CM 1.95」は2023年に発売する予定です。
〇アシックスの製品ライフサイクルアセスメントの枠組みについて
アシックスの製品ライフサイクルアセスメントは、2010年のマサチューセッツ工科大学との共同研究から始まりました。その後、輸送プロセス全体、さまざまな場面での廃棄方法など、より多くのバリューチェーンを考慮し、計算精度を高めました。最終的な製品ライフサイクルアセスメントの計算法と排出量 は2022年8月にSGS (Société Générale de Surveillance)ジャパン株式会社によりISO規格(ISO14067)に適合していることが認められました。
≪ご参考≫
マサチューセッツ工科大学との取り組みについて(2012年4月25日付プレスリリース)
https://corp.asics.com/jp/press/article/2012-04-25
〇「GEL-LYTE III CM 1.95」の詳細やアシックスのサステナビリティの取り組み、目標に
ついて
Photo - https://mma.prnasia.com/media2/1899913/ASICS_GEL_LYTE_III.jpg?p=medium600