バンコック、2025年5月26日 /PRNewswire/ -- Chulalongkorn University(チュラロンコン大学)のAquatic Resources Research Institute の研究者らは、サンゴが地球温暖化に適応できるように支援する革新的な方法を開発しました。人工授精や、サンゴの誕生から高温環境で育成するなどして、海水温の上昇に耐えられるサンゴの育成を目指しています。彼らはさらに、将来の修復に備えてサンゴの精子細胞を保管するための凍結保存技術も導入しています。
地球温暖化、汚染、そして観光や漁業といった人間の活動により、サンゴ礁は広範囲にわたって劣化しています。科学者は、現在の傾向がこのまま続いた場合、30年以内に世界のサンゴの90%以上が絶滅し、海洋生物の多様性と地球規模の食物連鎖が脅かされる可能性があると警告しています。
Chulalongkorn University(チュラロンコン大学)のFaculty of Science(理学部)のMarine Science Department(海洋科学科)の教授でChulalongkorn University Aquatic Resources Research Institute(チュラロンコン大学水生資源研究所)の副所長、そしてChula Unisearchの副所長であるSuchana Chavanich(スチャナ・チャヴァニッチ)教授と彼のチームは2005年以来、サンゴの繁殖研究を行っています。その結果、彼らは誕生以降暖かい水温(32~34℃)で育てられたサンゴが地球温暖化によりよく適応していることが判明しました。これらの「地球温暖化に対抗するサンゴ」と呼ばれるサンゴは、海に放出された後に、有望な生存率と繁殖率を示しています。
サンゴは有性生殖と無性生殖によって自然に繁殖しますが、これらの方法では遅く、また気候変動によりますます信頼性が低いものになっています。研究チームは、満月の産卵期にサンゴの卵子と精子を採取する人工授精技術を開発しました。受精した胚は、養殖場でテラコッタレンガの上で2年間育てられ、その後海に戻されてさらに3年間成長します。これらのサンゴは5歳で産卵できる状態になり、生存率が大幅に上がります。
しかしサンゴの胚1個あたりのコストは、サンゴ断片化技術の場合には1ドルであるのに対し、この方法では約100ドルとコストが高くなります。コストはかかるものの、漂白に対して耐性が高いため、投資する価値はあります。
サンゴ種の生存をさらに確実にするために、研究チームは台湾の科学者と協力して極低温技術を適用しました。それにより、サンゴの精子は将来の使用に備えて凍結することに成功しましたが、卵子の凍結はまだ開発中です。この取り組みにより、海洋状況が改善した際にはサンゴの復活が可能になる可能性があります。
Suchana教授は、サンゴの保全は、サンゴ礁の修復、汚染の削減、国民の意識向上、継続的な資金提供を含む、総力を結集したものでなければならないと強調しています。協調的な行動を実施することで、サンゴの生態系の復活と長期的な存続はまだ可能なものです。
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