TAE Technologiesが核融合炉性能目標を250%超過達成、2億5000万ドルの資金調達ラウンド完了で総額12億ドルに

*TAEは現在の核融合炉であるNormanでの科学的マイルストーンの後、長期的パートナーのGoogleや、Chevron、米州住友商事(Sumitomo Corporation of Americas)などからTAEのアプローチによる正味エネルギー性能の実現可能性を実証する同社の第6世代研究炉建設用の投資を受け入れ

フットヒルランチ(米カリフォルニア州), 2022年7月21日 【PR Newswire】セ氏7500万度超の温度を達成し、最先端の核融合研究炉Normanでプラズマの比類のないリアルタイム制御を実証したことを受け、TAE Technologies (https://tae.com/ )は19日、次期研究炉であるCopernicusの建設資金向けの戦略的・機関投資を確保したと発表した。

水素-ホウ素核融合研究の世界的リーダーとして、TAEの非放射性アプローチは、炭素を含まない豊富なエネルギーを電力網にもたらす最も速く、最も実用的で、経済的に競争力のあるソリューションを意味する。カリフォルニア州アーバインにある10万平方フィートの施設に建設されるTAEのCopernicus炉は、TAEの高度なビーム駆動型の磁場反転配置(FRC)で正味エネルギー生成を達成する実現可能性を実証するように設計されている。クリーンな核融合電力を商用化するTAEの進路計画で最後から2番目の段階である。

TAEの第5世代反応炉であるNormanは2017年に披露され、プラズマをセ氏3000万度で安定するよう設計された。Normanの能力を最適化するための5年間の実験の後、Normanは当初目標を250%上回るセ氏7500万度超で安定したプラズマを維持できることが証明された。

TAEは、マイルストーンと性能目標を超過達成した実績により、将来を見越した投資家の支持を集め、これまでに商業的核融合開発用に合計12億ドルを調達した。TAEは最近完了したシリーズG-2資金調達ラウンドでエネルギー、技術、エンジニアリング各分野の投資家から2億5000万ドルを確保し、世界的なエネルギーの独立性と安全性を提供しつつ、急速に増大する電力需要に長期的なソリューションを提供するという同社の使命を支援した。TAEの安全かつ非放射性のアプローチは、炭素と粒子状物質の排出を回避し、環境や気候変動への影響を軽減する。

米西海岸に拠点を置く大規模な投資信託のマネージャーや大規模な米年金基金とともに新規投資家としてChevron、Google、Reimagined Ventures、米州住友商事、TIFF Investment Managementなどが資金調達に参加した。ゴールドマン・サックスは、シリーズG-2資金調達ラウンドで独占的な財務顧問を務めた。

TAE TechnologiesのMichl Binderbauer最高経営責任者(CEO)は「われわれの投資家の力量と関心は、当社の重要な技術進歩を検証し、この10年間の終わりまでに核融合の商業化を開始するという当社の目標をサポートしている。世界の電力需要は指数関数的に増加しており、当社には安全で、炭素を排出しない(カーボンフリー)、かつ経済的に実行可能なベースロード電力ソリューションの開発で全力を尽くすという道徳的義務がある」と語った。

米州住友商事(SCOA)は、TAEの日本初の投資家であり、アジア太平洋市場への商用電力とその他の核融合由来技術の展開でパートナーとなる。東京を拠点とするフォーチュン500社グローバル貿易・事業投資会社である住友商事の最大子会社SCOAは、日本とアジアでTAEベースの技術を追求するための商業協力契約を締結している。

SCOAのSandro Hasegawaゼネラルマネジャー(米州エネルギーイノベーションイニシアチブ担当)は「当社は、TAEのクリーンエネルギーソリューションをアジア太平洋市場にもたらすパートナーとなることを楽しみにしている。これは、地球に影響を与えることなく地域経済を維持するために最も重要である。多様な業界や用途に向けて、安全で持続可能なエネルギー源を生み出すためにTAEの画期的な融合技術をサポートすることをうれしく思う」と語った。

今回の投資はTAEと日本の自然科学研究機構核融合科学研究所(NIFS)との画期的な官民提携(https://tae.com/tae-technologies-partners-with-japans-institute-for-fusion-science-nifs-for-fusion-fuel-research/ )を受けたものである。

Googleは、TAEの卓越した計算AI・機械学習パートナーであり続けている。協力は2014年に始まり、今回のGoogleの投資は、共同開発されたOptometrist Algorithm(https://www.nature.com/articles/s41598-017-06645-7 )の成功を受けたものだ。これはGoogleの機械学習を活用してTAEの研究炉の運用を最適化し、達成された進歩と究極の性能を大幅に向上させる。これまでは1カ月を大きく上回る期間かかるのが常だったプログラム手順を、1日以内に実行できるようになった。さらに両社は全体的に後処理し、独立した診断測定の大規模なセットを統合する画期的な機能を開発し、記録的な規模で実験データへの忠実度の高い知見を生み出した(https://ai.googleblog.com/2021/11/another-step-towards-breakeven-fusion.html )。

Reimagined Venturesも、社会の最大の課題のいくつかを解決している先見の明のある人々に投資するという使命の一環として、このラウンドに参加した。Reimagined VenturesのJack Litowitz戦略的投資部長は「無限のゼロカーボン・クリーンエネルギーはもはや夢ではない。TAE Technologiesの驚くべき科学的進歩のおかげで、これは手の届くところにある未来である。太陽のエネルギー生成プロセスを複製するほど複雑な課題はない。TAEの業界をリードする前進がプラスの影響を与える可能性のある領域と暮らしの数は計り知れない。Michl氏と彼のチームがエネルギー供給網を永遠に変え、すべての人のために再生可能な核融合ベース電力へのアクセスを民主化するのに最適な立場にあると確信しているため、当社はMichl氏と彼のチームへの投資を誇りに思う」と語った。

Chevronは、エネルギーイノベーションを専門とするテクノロジーベンチャーユニットを通じてTAEに投資した。Chevron Technology Ventures社長であるChevronのJim Gable副社長(イノベーション担当)は「TAE(および全体としての核融合技術)は、再生可能エネルギーがエネルギーミックスの大部分を占めるようになることから、拡張可能な無炭素エネルギー生成源であり、電力網の安定性を実現する重要な要素となる可能性がある」と語った。

TIFF Investment ManagementのJay Willoughby最高投資責任者は「世界を変えることができる非常に才能のあるチームを支援する機会はそれほどない。TAEが実証し、安全でクリーンな商用核融合電力への道を歩み続けている進歩はユニークであり、われわれみんなが必要としているものだ」と述べた。

▽TAEの違い

TAEを他の核融合の取り組みと一線を画すのは、プラズマ物理学と加速器物理学の組み合わせである同社独自の高度なビーム駆動の磁場反転配置(FRC)であり、これはTAEの優先燃料源である水素陽子-プロトンボロンまたはp-B11としても知られている-とで電力網に統合するために開発された。 

TAEは、その豊富さ(世界で10万年超分の供給)と、地政学的な懸念や拡散リスクがなく、核融合のための最もクリーンで安全な最も経済的な地上燃料サイクルであるため、非放射性水素ホウ素にコミットしている。 同社は1998年の設立以来、コスト競争力があり環境に優しい水素-ホウ素核融合の実現に取り組んできた。現在、マイルストーンごとの資金調達成功が証明されたことと着実な科学的進歩のおかげで、TAEはその目標を達成しようとしている。(https://tae.com/about-us/history/ を参照)

Binderbauer氏は「Normanの最先端制御システムのトレーニングを成功させ、独自の電力管理技術と機械学習アルゴリズムの広範な最適化を組み合わせることで、比類のないレベルの統合された複雑さで制御の規模を達成した。われわれの長年にわたる核融合の専門知識は、設計と運用の習得における独創的な進歩とともに、人間の経験を変革し、将来の世代を維持する能力を備えた無尽蔵のクリーンエネルギー源の提供に向け前進する中で、見事に成果を上げている」と語った。

▽TAE Technologiesについて

TAE Technologies (https://tae.com/ )(発音:T-A-E)は、最もクリーンな環境プロファイルの商業用核融合発電を開発するため1998年に設立された。同社の先駆的な取り組みは、電力網に豊富なクリーンエネルギーをもたらす最も速く、最も実用的で、経済的に競争力のあるソリューションを示している。世界中で1800件を超える特許を出願し、1100件超の特許が付与され、12億ドルの民間資金を調達し、国立研究所規模の5世代の設備を構築し、さらに2つが開発中であり、400人を超える従業員からなる経験豊富なチームを擁するTAEは現在、何世紀にもわたり地球にエネルギー源を供給できる変革への第一歩を踏み出している。

同社の革新的な技術は、電力管理、エネルギー貯蔵、電動モビリティー、高速充電、生命科学など、大規模な隣接市場で強力な商業的イノベーションのポートフォリオを生み出してきた。TAEはカリフォルニア州を本拠とし、英国とスイスに海外オフィスを構えている。生来、学際的でミッションを重視するTAEは、独自の科学とエンジニアリングを活用して輝く未来を創造している。

ソース:TAE Technologies