マッキンゼー・アンド・カンパニーと世界スポーツ用品工業連盟、新たな報告書を発表、業界の現状と2025年以降の成長テーマを考察

スポーツ用品ブランドが不確実性を好機に変える方法とは

ベルン(スイス), 2025年3月6日 /PRNewswire/ -- マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)と世界スポーツ用品工業連盟(World Federation of the Sporting Goods Industry、WFSGI)は、「スポーツ用品業界2025 – 新たな均衡の実現:不確実性を好機に変える」の出版を発表しました。

  • 本年で第5版となる年次業界報告書は、スポーツ用品業界におけるグローバルな競争環境を形成する主要トレンドを詳細に分析しています。
  • 本報告書には、2つの独自調査、市場調査と分析に加え、コルナゴ(Colnago)、デカトロン(Decathlon)、ルルレモン(Lululemon)、オン(On)、TRX、ビクトリーグループ(Victory Group)の経営幹部へのインタビューを通じた洞察が含まれています。
  • 本報告書では、身体的不活動が大きな未開拓市場であると指摘しており、スポーツ用品業界の企業にとって、運動習慣のない消費者の身体活動レベルを向上させるための具体的な施策を講じる機会があることを示しています。
  • アクティブライフスタイルのアイデンティティ化:フィットネス志向の高い層はさらに健康志向を強めており、スポーツ用品ブランドにとっては、アクティブな消費者の感情的・機能的ニーズを満たす製品を開発し、長期的なブランドロイヤルティを育む機会となっています。
  • 市場シェアの再編:市場参入の障壁が低下したことにより、新興ブランドや新規参入企業が主要プレイヤーを上回る速度で成長を遂げています。
  • ライブスポーツとエンターテインメントの融合が急成長:対面型とデジタル型の提供を組み合わせ、スポーツとエンターテインメントの融合領域を活用することが新たなビジネス機会となっています。
  • マッキンゼー・アンド・カンパニーとWFSGIは、3月17日にウェビナーを開催し、業界の複雑な課題を乗り越えるための実践的な洞察と戦略を提示します。こちらからご登録ください。

調査結果報告

過去1年間、スポーツ用品業界は経済の変動、地政学的緊張、そして変化する消費者行動に対応しながら持続的に発展してきました。成長の鈍化が予測されており、2024年から2029年の年間成長率は6%と見込まれています。この状況により、経営幹部は売上高と収益性の双方に注力する必要に迫られています。それでも、本報告書によると、業界の経営幹部の44%が2025年について「楽観的」または「やや楽観的」と考えており、広範な課題がある中でも機会を捉えることに対する慎重ながらも前向きな姿勢が示されています。

「不確実性の高い環境の中で、当社の分析は進化する消費者行動とトレンドを浮き彫りにしており、スポーツ用品ブランドにとって成長の機会をもたらしています。」と、マッキンゼーのパートナーであるアレクサンダー・ティール氏は述べています。「2025年において成功を収めるためには、経営幹部は売上成長と収益性のバランスを取ること、多様な消費者セグメントとのエンゲージメントを強化すること、そして対面型とデジタル体験を統合することに注力すべきです。」

WFSGIのCEOであるエマ・ツヴィーブラー氏は、次のように続けました。「本報告書が、不活動の危機を健康とビジネスの両面で前向きな変革の契機とする可能性を示していることを、大変喜ばしく思います。統計データは重要であり憂慮すべきものですが、同時に、WHOが指摘する18億人の運動不足の成人と関わる機会も示しています。運動を促進することは、健康面での必須事項であるだけでなく、大きなビジネス機会でもあります。私たちの業界は、身体活動をより身近なものにし、誰もがより健康でアクティブな世界を実現する一助となることで、グローバルな健康増進に貢献する可能性を持っています。そして、それによって業界の成長も促進されます。まさに双方にとって利益のある取り組みです。」

本報告書では、市場を形成する主要なテーマを詳述し、成長の道筋となり得る消費者トレンドを取り上げています。

身体活動の不足は最大の未開拓市場。身体活動の重要な利点にもかかわらず、運動不足の成人の割合は2010年の26%から2022年には31%へと増加し、2030年には35%に達する可能性があります。WHOの推奨する身体活動レベルを満たしていない世界の成人人口は現在18億人に上り、これはインドの成人人口の2倍に相当する未開拓市場となっています。スポーツ用品業界の企業には、運動習慣のない消費者の身体活動レベルを向上させるために、的確な施策を講じる機会があります。企業は、製品の革新、認知向上のためのマーケティングキャンペーン、若年層とのエンゲージメント強化などを通じて、運動習慣のない層における身体活動の障壁を取り除くことができます。本報告書では、この課題が業界単独で対処するにはあまりにも大きいため、異業種間の連携強化が不可欠であることも強調されています。

アクティブライフスタイルのアイデンティティ化。世界的に身体的不活動が過去最高水準に達する一方で、ますますアクティブになる消費者セグメントも存在しています。すでに身体活動を習慣化している人々にとって、運動は単なる娯楽を超え、健康維持の中核となる要素であり、個人のアイデンティティを形成する重要な要素へと進化しています。アクティブな消費者のほぼ2人に1人、またZ世代およびミレニアル世代の多くが、フィットネスを自身のアイデンティティの中核と捉えています。このトレンドは、スポーツ用品ブランドにとって、アクティブな消費者の感情的・機能的ニーズを満たす製品を開発し、長期的なブランドロイヤルティを育む機会となります。

市場シェアの再編。スポーツ用品市場では、新規参入企業の急増が見られています。これには、一般的なアパレル企業に加え、ランニング、ヨガ、サイクリング、ジムウェアといった特定のセグメントに特化した企業も含まれています。これらの新興ブランドは、市場参入の障壁の低下と、特定の消費者セグメントに向けた明確な価値提案の強化による恩恵を受けています。2019年から2024年にかけて、上場している新興ブランドは、大手既存企業を上回る成長を遂げ、市場シェアを3ポイント拡大しました。

ライブスポーツとエンターテインメントの融合が急成長。消費者調査によると、回答者の81%が過去1年間に対面式のフィットネスクラスに参加したと回答しています。ライブ体験への需要の高まりにより、マッキンゼーは、2023年の世界のライブイベントのチケット販売市場は1,000億ドルを超え、2030年には1,500億ドルに達する可能性があると推定しています。これに伴い、スポーツ、エンターテインメント、小売を融合した施設が増え、競技やパフォーマンスを特徴とする新しいスポーツ形式が生まれ、スポーツを題材にしたコンテンツも増加しています。ブランドは、対面型とデジタル型の提供を効果的に組み合わせ、他の業界プレイヤーと提携することで、スポーツとエンターテインメントの融合領域を最大限に活用することができます。

調査について

本報告書は、複数の調査活動から得られた洞察と見解を取りまとめたものです。

WFSGI スポーツ用品業界エグゼクティブ意識調査(2024年12月)– 50人のスポーツ用品業界の幹部を対象に、業界の現状や今後重要となる要因についての全体的な意識を測定しました。

マッキンゼー スポーツ用品市場消費者調査(2024年12月)– ドイツ、英国、米国の3,600人以上の消費者を対象に実施した調査で、身体活動への取り組み、ライブスポーツやエンターテインメントとの関わり、スポーツウェアブランドの消費動向について分析しています。この調査対象のうち、アクティブな消費者と自己認識している1,842人をセグメント化し、この層の特性をより深く分析しました。

さらに、追加の調査・分析として、公開情報(年次報告書、企業出版物、プレスリリース)のレビューや、上場企業の財務分析を実施し、業績および市場シェアの評価を行いました。

3月17日に、マッキンゼー・アンド・カンパニーおよびWFSGIのCEOエマ・ツヴィーブラー氏によるライブウェビナーが開催されます。こちらからご登録ください。

マッキンゼー・アンド・カンパニーについて

マッキンゼー・アンド・カンパニーは、組織の持続可能かつ包括的な成長を加速させることを使命とする、グローバルな経営コンサルティング企業です。同社は、民間、公共、社会の各セクターにおけるクライアントと協働し、複雑な課題を解決するとともに、すべてのステークホルダーにとって前向きな変革を創出することを目指しています。また、大胆な戦略と革新的な技術を融合させ、組織が持続可能な形でイノベーションを推進し、長期的な業績向上を実現するとともに、現世代および次世代にわたって成長し続ける人材基盤を構築できるよう支援しています。

www.mckinsey.com 

WFSGIについて

世界スポーツ用品工業連盟(WFSGI)は、スポーツ用品業界を代表するグローバルな業界団体です。WFSGIは、ブランド、製造業者、小売業者、各国のスポーツ連盟を代表し、スポーツおよび身体活動を通じて健康、持続可能性、経済成長を促進する政策や取り組みを提唱しています。

www.wfsgi.org