G7議長国カナダとIRENA、電力システム変革の機会を捉える

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によるG7政策立案者向け報告書、デジタライゼーションにより世界の電力システムのコスト削減・信頼性向上・強化を実現する道筋を提示。

アラブ首長国連邦・アブダビ/カナダ・トロント, 2025年10月31日 /PRNewswire/ -- デジタライゼーションと人工知能(AI)ベースのアプリケーションは、エネルギー転換におけるゲームチェンジをもたらす。IRENA報告書によれば、デジタルソリューションはエンドユーザーの電力コスト削減、エネルギー安全保障の強化、事業パフォーマンスの向上、低コストな再生可能エネルギーの統合促進に貢献する。

電力システム変革のためのデジタル化とAIG7に向けた展望(Digitalisation and AI for Power Systems Transformation: Perspectives for the G7」では、人工知能(AI)による予測や自動化を活用した送電網運用等が電力システム全体でいかに価値を創出できるかを検証した。本報告書は、10月30日から31日にかけてカナダ・トロントで開催されたG7エネルギーおよび環境大臣会合(G7 Energy and Environment Ministers' Meeting)において、G7議長国カナダによる要請を受け、International Renewable Energy Agency(国際再生可能エネルギー機関(IRENA))が本日発表したものである。

 

 

本報告書によると、モニタリング、予測、運用の最適化、エンドユーズにおける自動化、透明性という5つの価値クラスターを通じて、G7諸国が世界の電力システム変革に取り組むための指針となることを提示している。新興経済国・開発途上国(EMDE)との緊密な協力においても、送電網の強化・改善とター ゲットを絞った投資によりエネルギー・アクセス向上経済社会開発のポテンシャルが分析されている。

また、本報告書は、G7の政策立案者へ以下の事項を推奨している。

  • 政策および投資の決定の指針となる、電力システムの便益重視の評価の実施
  • 地域ネットワークとサイバーセキュリティに焦点を当てた、データ・システムと相互運用性の強化
  • エネルギー転換に備えた労働力を確保するため、セクター間のデジタル・スキルの格差への対処
  • 新興経済国・開発途上国における投資を動員するためのエネルギー計画の推進
  • 電力システムの変革を加速および管理するための、エネルギー、デジタル、公共セクター間の協力の強化

カナダのティム・ホジソンエネルギー・天然資源大臣は、この報告書の結果を歓迎し、次のように述べている。「デジタル化とAIなどの新技術の台頭は、電力需要の増加から産業効率に至るまで、世界のエネルギー・システムを変革しつつあります。カナダのエネルギー部門がデジタル・ソリューションを活用することは、エネルギー・システムの安全性、責任、競争力を高めるために極めて重要です。カナダ政府は、G7エネルギー・環境大臣会合で推進しているエネルギー安全保障とイノベーションの優先事項を強化する本報告書について、IRENAと協力できたことを嬉しく思います。」

IRENAのフランチェスコ・ラ・カメラ事務局長は次のように述べる。「IRENAの暫定的なデータに基づく分析によると、世界は2025年でも再生可能エネルギー発電設備容量の記録を再び塗り替える見込みであり、これは2030年までに再生可能エネルギーを3倍に増やすための最も強力な一歩となります。2050年までに世界のエネルギーの半分以上を電力が担う中、電力システムの信頼性、手頃な電力価格、安全性はデジタルトランスフォーメーションの基盤でなければなりません。」

さらに次のように付け加えた。「G7は、コスト削減、効率向上、電力システムの強靭性構築を実現するデジタル・ソリューションの拡大を通じてリーダーシップを果たせます。先進国、新興国、発展途上国を問わず、市場の潜在力はきわめて高く、エネルギー部門とデジタル部門の連携強化により膨大な機会を創出することができます。IRENAは、デジタル・イノベーションを通じたより手頃で安全かつ信頼性の高い電力システムの構築に向け、加盟国およびG7を支援する用意があります。」

本報告書は、不確実性の低減、イノベーションの促進、公平な技術導入の確保に向け、インセンティブ、規制枠組み、人材育成を整合させたデジタル化への包括的かつ統合的なアプローチを提唱している。

各国が電力システムの強化と拡張を進める中、デジタル・ソリューションを設計段階から組み込み、物理的なエネルギーインフラや長期エネルギー計画と並行して開発することが重要である。

IRENAの長期分析によると、2050年までに電力が最終エネルギー消費に占める割合は52%に達すると予測されており、この電化の進行に対してデジタル化が不可欠となる。増大する需要と発電の変動性、分散型エネルギー資源の増加に対応し、再生可能エネルギーによるコスト削減効果を損なうことなく信頼性を維持するには、電力システムのデジタル・トラスフォーメーションが役割を果たす。 

電力システム変革のためのデジタル化とAIG7に向けた展望(Digitalisation and AI for Power Systems Transformation: Perspectives for the G7」を読む

International Renewable Energy AgencyIRENA)について

IRENAは、エネルギー分野全体の体系的な変革を追求する再生可能エネルギーベースのエネルギー転換を主導する政府間機関です。170の加盟国と加盟手続き中の15か国で構成される国際エネルギー機関として、IRENAは知識提供、技術支援、能力構築、プロジェクトおよび投資促進を行っています。

問い合わせ先:IRENA:Nicole Bockstaller、IRENA広報部長、nbockstaller@irena.org、+9712417 9951。IRENAの最新情報はwww.twitter.com/irenaおよびwww.facebook.com/irena.orgで入手できます

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