“地上の楽園” 雲貴川――中国人の憧れの地の一つ、貴州省探訪記・下 少数民族ミャオ族を訪ねて

中国南部の雲南、貴州、四川の3省を総称して「雲貴川」は、中国人にとって自然豊かで暮らしやすい土地として“地上の楽園”とさえ言われている。後編である今回は貴州省の少数民族の暮らす土地を訪れた。

“地上の楽園” 雲貴川――中国人憧れの地の一つ、貴州省探訪記・上 黄果樹大瀑布で身も心も洗われた | ツーリズムメディアサービス(TMS)

(トップの写真は、左上から貴州特産の白酒、はにかんだ表情の少数民族の女性、お酒も進む酸湯魚、左下 民族衣装の貸衣裳店も、お酒を振る舞い歓迎する女性)

貴州省の省都・貴陽に到着した日に伝統的料理を提供するレストランを向かった。玄関で迎えてくれたのは少数民族、ミャオ族(苗族)の若い男女。スマホを向けるとはにかんだ表情を見せたが、その後の食事中は賑やかな音楽と伝統的なお酒のお持てなしで歓迎してくれた。

日本人好みの酸湯魚と53度の香り豊かな白酒

ここでの名物料理は酸湯魚。朱色に近い色のスープに川魚の切り身と野菜が浮いている、いかにも辛そうなイメージだが、ひと口飲んでみると、適度な酸っぱさでが日本人の口にも合う。お酒にも合うし、ご飯にかけてもうまい。食事が進む頃、さきほどのミャオ族の男女が歌舞団として登場した。民族音楽を披露後は、一人ひとりの後ろに回り、大騒ぎしながら頭上からお酒を継ぎ足していく。「もういらない、ストップ」と言わないと、いつまでもお酒が継ぎ足されそうで、飲みすぎてしまう。

お酒をついておもてなし

次から次へとお酒が注がれ盛り上がる

このお酒とは別に、筆者たちが飲んだのはアルコール53度の香り豊かな白酒,。この白酒の主な原料は、貴州の山の斜面でしか栽培できない赤子糯高穀物で、「一口飲んだら甘く感じ、二口飲んだら香ばしい、三口飲んだら喉が緩むほど柔らかい」と同席したお酒の会社の女性は自慢する。1935年から生産を続けている工場があり、そこには、魔法の酒作りの名人がいるという。それにしても、この地の人たちは男女を問わず、お酒が好きでかつ強い.

映えスポットだらけの西江千戸ミャオ塞 少数民族のテーマパークのよう

翌日はバスツアーに参加し、貴陽中心部から3時間ほどの西江千戸ミャオ塞に向かった。ここは黔東南ミャオ族トン族自治州の雷山県にある集落。世界のミャオ族集落の中で最大と言われ、約1400戸、6000人が暮らすという。といっても、ミャオ族の暮らしぶりや文化を伝えるテーマパークのようで入場料が必要。広場では、ここでも歓迎のお酒が振る舞われた。そして昼食は、前述の酸湯魚で、やはりお酒を継ぎ足していくセレモニーがあった。

散策を始めると、伝統的衣装の着付けてもらい写真に納まる女性たちがそこかしこにみられた。銀の飾りが印象的だ。広場では定期的に伝統文化を披露するショーも行われている。

集落内の川沿いには、山の斜面にびっしりと民家が立ち並んでいる。宿泊施設もある。この日は晴天に恵まれ、アップダウンのある集落を歩いたので、川沿いのレストランで一休み。北京や上海では出会うことのない、少数民族の人たちを写真に収め、貴陽に戻った。

川沿いに古い木造民家が軒を連ねる