レプリスクの調査によるとグリーンウォッシングに関連する企業数は前年比12%減少しており、
企業行動の大きな変化を示している。
- 全体数は減少しているものの、グリーンウォッシングに関連する高リスク事案は、30%以上急増。
- 2023年にグリーンウォッシングに関連した企業の30%近くが、2024年においてもグリーンウォッシングを繰り返している。
- 銀行・金融サービスセクターは、2023年に、気候変動関連のグリーンウォッシングのリスクが70%増加したが、2024年のレポートでは20%減少していることが明らかとなった。
チューリッヒ, 2024年10月9日 /PRNewswire/ -- ESGデータテクノロジーの分野におけるグローバル・リーダーであるRepRiskの新たな調査によると、2024年6月までの1年間で、全てのセクターにおいて世界的にグリーンウォッシングのリスクが12%減少した。これは6年ぶりの減少である。
RepRiskの第3回年次グリーンウォッシング・レポートによると、この結果は、規制が強化されるなか、企業がステークホルダー、特に消費者、投資家、規制当局からの反発を恐れて、グリーンハッシングに取り組んだ結果と考えられる。グリーンウォッシングの件数が減少した一方で、深刻なグリーンウォッシングの件数は30%増加しており、依然として取り組むべき課題があることを示している。
「ステークホルダーは、グリーンウォッシングのリスクを、これまで以上に認識しています。」とRepRiskのCEO兼共同創設者であるPhilipp Aebyは述べている。「規制当局はグリーンウォッシングを抑止するための法規制を推進することに成功していますが、新たな形態が出現するにつれてリスクは変化し続けるため、企業は最終損益にインパクトを与えるレピュテーショナル・ダメージを被る可能性に晒されています。グリーンウォッシングは多くの場合、コーポレート・ナラティブによって引き起こされます。グリーンウォッシングを見抜くために、投資家と企業は、第三者の情報源が明らかにしていることに依拠すべきです。」
純件数の減少は、グリーンウォッシングが重大な違法行為であることを企業がますます認識し、リスクを軽減するために積極的な措置を講じていることを示している。これは、企業の変化を促すために、グリーンウォッシング法案を審議中、検討中の行政機関にとって、非常に心強い兆候である。
しかし、RepRiskのデータによれば、2023年にグリーンウォッシングに関連した企業の30%が、2024年にも警告を受けている。これは、社会的認知が全体的な減少傾向に大きな影響を与えている一方で、長期化する事例を減らし、増加する深刻なインシデントに対処するためには、透明性の高いデータと併せて、さらなる規制が必要であることを示している。
このレポートでは、銀行・金融サービスのグリーンウォッシングの状況が大きく変化していることも示唆されている。このセクターでは2022年から2023年にかけて、気候変動に関連するグリーンウォッシングが70%増加したが(この傾向は今夏発表された欧州銀行監督局(European Banking Authority)のレポートにも反映されている)、RepRiskの最新データによると、2023年から2024年にかけて、このセクター全体でインシデントが20%減少したことが明らかになった。昨年グリーンウォッシングに関連した金融関連企業の3分の1強(36%)は、2024年にもグリーンウォッシングに係わっており、全セクター平均の30%をわずかに上回っている。
規制が全体的な減少傾向に影響を与えていることは明らかである。英国ではインシデント件数が4%減と比較的緩やかな減少にとどまったのに対し、過去 12 か月間に施行された膨大な量の法律に基づき規制の波を先導した EUでは20%減となった。例えば、欧州グリーンクレーム指令では、企業が環境に関する主張を確実な証拠で立証することを義務づけており、これがEU全域でのインシデント数の減少に貢献している。
しかし、米国のグリーンウォッシングの傾向が異なる様相を呈していることを見ると、規制が唯一の要因とは言い切れない。米国におけるグリーンウォッシングの件数は2022年にピークに達し、2021年から前年比35%増の503件となった。その後、2023年には10%減少し、2024年には6%の微増となった。米国と他地域との乖離要因の一つと考えられるのは、ESGの政治化の進行である。投資においてESG基準を考慮することに反対する投資家、州司法長官、その他の州レベルの政治家からの圧力に対応するため、企業やファンドがグリーンクレデンシャル(環境への配慮に関する信頼性)の表明に慎重になったことが、早期(2023年)の減少につながった可能性がある。
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図1. 米国、英国、EUにおけるグリーンウォッシングに関連する企業の前年比動向
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図2. グリーンウォッシングリスクの深刻度に関する世界的傾向
編集者への注記
RepRisk は、(1) 誤解を招くコミュニケーション、 (2) 地域的汚染や生態系・生物多様性への影響といった環境問題、と言う 2 つの基準の交差を通じてグリーンウォッシングを捉えている。この範囲のESG リスクインシデントには、環境への影響について消費者を欺く広告キャンペーンへの批判、企業が取り組みの影響を誇張していることを明らかにする調査結果、または、気候変動への取り組みと正反対の企業活動に関する報道、などが含まれる。
RepRisk は、データ生成時に企業の自己開示情報を除外することで、隠蔽され、悪影響として顕在化する可能性のあるビジネス行動リスクを明らかにする。
RepRisk は、3 つの側面に基づいて深刻度を決定する。第 1 に、リスク インシデントの結果 (例: 環境への主張に対する実際の環境への影響の規模)、第 2 に、影響の範囲 (例: 個人、集団、大多数など)、第 3 に、リスクインシデントが事故、過失、故意、または組織的な原因によって発生したかどうか。深刻度には、低深刻度、中深刻度、高深刻度の3つのレベルがある。
より最新のデータを提供するために、RepRiskでは暦年の使用を廃止した。2023 年版レポートでは、暦年と 2022 年 9 月 1 日から 2023 年 8 月 31 日までの期間の両方に基づく結果を提示していたが、2024 年版レポートでは、2019 年から 2024 年までのすべての年について、7 月 1 日から 6 月 30 日までの統一された時間枠を採用している。
2024年中に、RepRiskは6つの新しいトピックタグを導入し、その方法論を拡大する予定である。グリーンウォッシングに加え、新しいタグには、人工知能、森林破壊、エコサイド、水銀、ソーシャルウォッシングが含まれる。
RepRiskについて
RepRisk は、世界中の組織のビジネス行動と ESG リスクの特定・評価におけるグローバル リーダーです。RepRisk は、企業が開示しない可能性のある情報に焦点を当て、森林破壊、人権侵害、汚職などのリスクを明らかにし、ステークホルダーにビジネス関係や投資についてより明確な見解を提供します。
RepRiskは、高度なAIと23ヶ国語に対応する人間の専門知識を組み合わせることにより、あらゆる規模の組織に対し、ビジネス行動リスクに関する日次更新データを提供します。20年近くにわたって洗練されたRepRiskの透明性の高い一貫性のある方法論は、リスクインシデントを実用的な洞察に変換、デューデリジェンスを実施し、リスクエクスポージャーを軽減します。
RepRiskは、お客様の貴重な調査・分析時間を節約し、意思決定者が迅速かつ十分な情報に基づいた意思決定を行うことで、顧客の利益を守り、価値を高め、持続可能性を促進します。RepRiskは、世界の大手銀行80行以上、大手投資運用会社25社のうち17社、大手企業、世界最大の政府系ファンドから信頼されており、ビジネス行動データのグローバルスタンダードを確立しています。
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