- Top 100にランクインしたブランドの価値総額は、昨年の対前年比16%増に対して、今年は同5.7%増にとどまる
- 鈍化の主な要因として、成長思考の相対的な希薄化、ブランド・リーダーシップの保守化、将来への不確実性の高まりが挙げられる
- 複数の業種に展開しているブランドが価値総額の50%を占め、引き続きランキング上位を独占。ブランドをより重視することにより、競合相手に対して急成長を遂げることが可能に
- 昨年初ランクインしたAirbnb(46位)が、成長率第1位(21.8%増)
- Apple は11年連続で第1位の座を維持。ブランド価値が5,000億ドルを突破した初めてのブランドに
- 最も成長した業種は、自動車ブランドとラグジュアリーブランドで、それぞれ9% 、6.5%の増加。BMW(10位)が初めてTop 10入りし、Porsche(47位)、Hyundai(32位)、Ferrari(70位)も好調
- Zara(43位)とSephora(97位)の2つの人気小売ブランドの価値が、それぞれ10%、15%増加
ニューヨーク, 2023年11月21日 /PRNewswire/ -- Interbrand は、Best Global Brands 2023ランキングを発表し、世界のTop 100ブランドの多くが成長を鈍化させていることを明らかにしました。Top 100にランクインしたブランド価値総額の成長率は、2022年の対前年比16%増に対し、今年は同5.7%増と、昨年の目覚しい成長から急激に鈍化し、ブランド価値総額は3兆3,000億ドル(2022年は3兆1,000億ドル)となりました。
Interbrandは伸び悩みの主な要因として、成長思考の相対的な希薄化、ブランド・リーダーシップの保守化・弱体化、高まる不確実性と将来への見通しの甘さを指摘しています。特に、単一の業種のみで展開しているブランドが、ブランド価値の成長の鈍化を招いています。
Interbrandのグローバル最高経営責任者(CEO) Gonzalo Brujóは、「今年のランキングのブランド価値総額の伸びは緩やかであり、われわれはここ数年の急速な成長を経て、停滞期に入りました」と述べています。
「Airbnb(46位)、LEGO(59位)、Nike(9位)など、ブランド価値が上昇した企業は、いずれも本来の事業カテゴリーを超えて、社会や消費者の生活の中でより重要かつ意義ある役割を果たしています」
「われわれが経済と環境問題における逆風に立ち向かって進んでいくには、従来からの業種の内外で将来の投資を推進し、成長を持続するための事業計画を見直し、ブランド管理を改良していく必要があります。そうして新たな消費者の獲得に成功していく企業が、強いブランドになることができるのです」
20年以上にわたる分析では、複数の業種に展開し、より幅広い消費者のニーズに対応しているブランドがランキングの上位を独占し続け、価値総額の約50%を占めています。データによると、複数のさまざまな業種に展開しているブランドは、より安定し[注1]、より高い売上高の伸びを達成し[注2]、より利益率が高く[注3]、ブランド価値のより大きな成長の恩恵を受けています[注4]。企業は、プロダクトではなくブランドにフォーカスすることで、より速やかな決断を促進すること(平均に対して+12%)、すなわちカテゴリーの内外における顧客ニーズに、より的確に対応することができます。
Interbrand のグローバル最高戦略責任者 Manfredi Riccaは、「Appleがもはや1つの業種に属しているとみなすことができないことは、誰もが認めるところでしょう。それはさまざまなArena(顧客の享受価値)で競合し、顧客がiPhoneでConnect(他の人やモノとつながりたい)するだけでなく、Apple Watchが健康機器に位置付けられたようにThrive(よりよく生きる)したり、Appleの預金口座サービスがわずか開始4日間で約10億ドルを集めたFund(お金を管理・運用したい)など、様々なArenaに展開していく戦略により、Appleは2013年にCoca Colaを追い抜き、 11年連続でBest Global Brandsのトップの座を維持しています」と述べています。
[1] 売上高年平均成長率(CAGR)は2018-2022年平均に対して+81.5%
[2] 売上高成長予測は平均に対して+43.8%
[3] 利払前・税引前利益(EBIT)成長予測は平均に対して+33.7%
[4] ブランド価値成長率は平均に対して+4.8%
このほかのポイント
▽成長率トップ
Airbnbのブランド価値は対前年比21.8%増加し、今年最も高い成長率を示したブランドとなりました。また昨年ランキングに入ったばかりにもかかわらず、昨年の54位から46位へと躍進しています。このブランドの目覚しい価値の増加は、ブランドへの力強い投資と堅実な財務見通しによるものであり、2022年の売上高は2021年に比べて40%増加し、2023年は2022年に比べてさらに13%の増加が見込まれています。
▽自動車ブランドとラグジュアリーブランドが急成長
自動車ブランド全体のブランド価値は対前年比で9%増加しました。BMW(10位)が初めてトップ10に入り(10位)、Porsche(47位)、Hyundai(32位)、Ferrari(70位)はいずれも2ケタ成長を果たし、最も成長を示した上位5つのブランドのうちの3つを自動車ブランドが占めています。
Teslaは今年のランキングで12位の座を維持しましたが、成長率は自動車ブランドの中で最も鈍化し、ブランド価値の成長率は、BMW とMercedesがそれぞれ10.4%と9.5%だったのに対し、4.0%にとどまりました。
Riccaは「自動車でトップクラスの伸びを示したブランドは、ブランド価値の推進力であるAffinity(愛着度)、Trust(信用度)、Presence(存在感)、Participation(共創性)が高く、最終的に顧客とのつながりを強めました」と述べています。
ラグジュアリーブランドは今年、ブランド価値を6.5%増加し、再びトップクラスとなりました。これはラグジュアリーブランドの回復力と、カテゴリーを超越し、レストランやホテル、ポップアップ店などでプレミアム体験を生み出した成果と言えます。
Hermès(23位)、Dior(76位)は、今年、ブランド価値をそれぞれ10.2% 、8.4%増加し、ラグジュアリーブランドで最も伸びた2ブランドとなりました。
Top 100ランキングの全容と、業界動向や詳細を掲載したレポートは、www.interbrand.com をご覧ください。
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