レイキャビク(アイスランド), 2023年11月6日 /PRNewswire/ -- アムジェン(Amgen)の子会社deCODE geneticsの新たな包括的研究が6日、ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)誌に掲載され、クローン性造血(CH)に関する疫学、体細胞遺伝学および生殖細胞遺伝学に知見を提供しました。クローン性造血の集団規模調査には、アイスランドと英国のバイオバンクの全ゲノム配列データと独自の体細胞変異バーコーディング戦略が組み合わせて使用されました。
クローン性造血とは、造血幹細胞(HSC)の1つのクローン系統が増殖し、成熟した血液細胞のかなりの割合を占めるようになった場合に起きる病態です。deCODEの研究者チームは、17万6000人を超える人の全ゲノム配列データを使い、1万6000人以上の被験者のクローン性造血を検出しました。本研究により、クローン性造血は高齢者に非常に多く、80歳超では50%に近いことが再確認されました。クローン性造血のある人は、後に血液腫瘍と診断されるリスクが高く、死亡率も高くなります。クローン性造血はこれまで、がん腫から心血管疾患まで広範な非血液学的疾患が関与していると言われてきました。本研究で、喫煙がクローン性造血の発現を用量依存的に促進し、関連する全ての非血液性疾患も喫煙行動と結びついている可能性が高いことが示されました。本研究は、HSCに生じる突然変異が、クローン系統の増殖を促進する可能性があることを明らかにしました。さらに研究チームは、クローン性造血を発現しやすくする25の遺伝性配列変異を発見しました。deCODEの研究者らは、全ゲノム配列をベースにクローン性造血を検出する方法を開発しました。この方法は、全てのクローンが、発現過程で体細胞に生じ、クローン開始時には創始細胞に存在していた突然変異固有の「バーコード」を持っている、という事実を拠り所としています。特定のHSCクローンが十分増殖すれば、この突然変異のバーコードはシーケンシングで検出でき、その被験者にクローン性造血がある指標となります。クローン性造血には、がん化する可能性のある細胞クローンの前がん的増殖の特徴が数多くあります。実際、クローン性造血のある人は、血液腫瘍や早期死亡のリスクが高くなります。意外なことに、死亡率上昇には血液腫瘍が一部寄与してはいましたが、その多くは喫煙関連疾患に起因するものでした。クローン性造血は、血液腫瘍だけでなく、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、末梢動脈疾患、肺気腫、アルコール依存症と診断されるリスクを増加させることが分かりました。しかし本研究では、広く報告されている、クローン性造血と心血管疾患との関連性を裏付けるエビデンスは見つかりませんでした。喫煙はクローン性造血に用量依存的影響を及ぼすことが分かっており、恐らく加齢とともにその発現を促進していると考えられます。これは、クローン性造血がある意味では喫煙マーカーで、非造血疾患との関連は本質的に喫煙行動と加齢の結果であることを示唆しています。本研究では次に、クローン性造血の遺伝的基盤について調査し、HSCに発生して、クローン性造血に選択的優位性を与え、骨髄や造血を乗っ取らせる可能性のある突然変異にまず注目しました。研究チームは、その多くが骨髄性腫瘍やリンパ性腫瘍に関与していると知られる、いわゆるドライバー変異をいくつか発見しました。しかし、ほとんどのHSCクローンには明らかなドライバー変異はなく、なぜ増殖するのかは謎のままです。deCODEは次に、CHに罹患しやすくする遺伝的変異に着目、25の遺伝子座で遺伝子変異を発見しました。これらの変異は、CHに関連する遺伝子の発現、スプライシング、血漿タンパク質のレベルに影響を与える場合があることが明らかになりました。同変異は、血球数、骨髄増殖性腫瘍、白血球テロメア長にも影響を与える傾向があります。本研究は全体として、クローン性造血に関する遺伝学と疫学に相当な知見を提供しました。
アイスランドのレイキャビクに本社を置くdeCODEは、ヒトゲノムの解析と理解のグローバルリーダーです。deCODEは、独自の専門知識と人的資源を活用し、数十の一般的疾患の遺伝的危険因子を発見してきました。疾患の遺伝的特徴を理解する目的は、その情報を使って新たな疾患の診断、治療、予防法を生み出すことです。deCODEはアムジェン(NASDAQ:AMGN)の完全子会社です。
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Simon N. Stacey, scientist at deCODE genetics and first author on the paper and Kári Stefánsson CEO of deCODE genetics