地球規模の課題取り組みへ多国間組織の改革促進をとIFF共催の年次会合

【マラケシュ(モロッコ)2023年10月17日PR Newswire】国際通貨基金(IMF)、世界銀行、国連などの既存の国際開発金融機関(MDB)や組織の役割を強化すれば、世界が地球規模の課題により良く取り組めるだろうと、北アフリカのモロッコで10日に開催されたInternational Finance Forum(IFF、国際金融フォーラム)共催の「2023年マラケシュ年次総会」のパネルディスカッション参加者らは訴えています。


IMFや世界銀行を含むMDBの指導者、あるいは元指導者である著名な討論参加者らは、気候危機、世界的な不平等、貧困などの世界的な課題を解決するために国際協力を強化するよう呼び掛けました。

パネルディスカッションを開会したIMFのクリスタリナ・ゲオルギエワ(Kristalina Georgieva)専務理事は、地球規模の課題を解決するために世界が団結する必要があり、「そうでなければ我々は窮地に陥ります」と述べました。

専務理事は、アフリカが近い将来に人口ボーナスを得る唯一の大陸となる急速な高齢化世界で、グローバルノースとグローバルサウスを一つにする必要性を強調しました。

IFF諮問委員会委員のMasood Ahmedグローバル開発センター(CGD)会長は、地政学的な緊張を認識しながら、世界共通の課題を解決する実践的な手法を求め、「気候危機やパンデミックを含め、必要な場合には協力を開始する必要があります」と述べました。

IMFのBo Li副専務理事は、増大する分裂のリスクにもかかわらず、多国間主義は依然として機能し、世界的な課題を解決するより良い方法だとし、全く新たな構想よりも、既存のMDBの強化がより実際的だと考えており、「適応して強化しなければ、信頼を失うリスクがあります」と語りました。

IFF理事でゲーテ大学金融研究センターのAxel Weber所長は、国際機関は地球規模の課題に対処するために有機的に適応し、変化するべきだと考えており、IMFのようなMDBは気候危機に取り組む脆弱な国に資金を割り当てる「気候引き出し権」を設定するべきだと提案しました。同様に、世界銀行は気候の影響を受けやすい国々を支援する「気候基金」も設置するべきだと主張しました。

地球規模の問題の解決には資金調達が鍵となります。会合のパネリストらは、MDBの役割強化が資金問題解決の政治的意志を見出すのに役立つと考えています。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)のDany Alexander政策・戦略担当副総裁は、「気候問題に投資して解決する意欲のある世界的な政治指導者が必要です」と述べました。

CGDのAhmed氏は、IMFのようなMDBの強化は可能だと考えており、「政治家が行動しなければならないと感じる転換点にはまだ達していません。その地点に到達するまでは、資金は少しずつ供給されるでしょう」と言いました。

Weber氏は、2050年までに気候変動目標を達成するには120兆ドルの世界的投資が必要であり、そのためには成熟国から資金を調達する必要があると論じました。

同氏は、民間部門への集中が公共部門により大きなコストをもたらすべきではないと考えています。

IFF理事でLiquidity and Sustainability Facility(流動性・持続可能性ファシリティー)のVera Songwe会長兼創設者は、資金調達改善のために債務枠組みに関するルールを変更するべきだと考えています。

同氏は「状況を変える」ため資金調達に民間部門を取り込むことも呼び掛けました。

このパネルディスカッションは、IFF、Bretton Woods Committee(ブレトンウッズ委員会)、グローバル開発センターが共催し、フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフ(Martin Wolf)主任経済解説員が司会を務めました。

ソース:The International Finance Forum(IFF)