ナポリ(イタリア), 2023年8月28日 /PRNewswire/ -- 肥満手術による体重減少はがん発病のリスクに大きな影響を与える可能性があります。肥満学会誌Obesityに掲載されたユタ大学(米国ソルトレークシティ)の研究は、手術を受けた重度の肥満患者は、肥満に関連しないものも含め、がん発病のリスクが25%低いことを示しました。女性は肥満に関連したがん発病リスクが41%低いことが示されました。
男性患者のがんリスクは非手術対象者と比較して低くはありませんでした。
この研究では、手術を受けた女性は手術を受けなかった女性に比べて、子宮、卵巣、結腸のがんや、閉経前と閉経後の乳がんによる死亡リスクが47%低いことも示されました。
肥満手術で結腸がんの発生率も低下します。
肥満手術の利点は、8月30日から9月1日までイタリアのナポリで開催されるInternational Federation for the Surgery of Obesity and Metabolic Disorders(IFSO、国際肥満代謝外科連盟)の第26回世界会議で発表されます。議長はフェデリコ2世ナポリ大学のLuigi Angrisani一般外科教授が務めます。
Angrisani教授は「いくつかの研究で、肥満患者は(痩せた患者に比べて)高いがん発生率が証明されていますが、これまでのところ、手術による体重減少ががんのリスク軽減につながるかどうかは厳密には明らかではありませんでした」と論評しました。大規模な統計的に有意な集団において、大幅かつ持続的な体重減少を達成することは困難だからです。 しかしこの新しい研究は、肥満手術で達成できる実質的かつ持続的な体重減少により、手術を受けない患者と比較して、がんの発生リスクを大幅に減少させることが可能なことを示しています。この研究は、2022年10月に発行された「ASMBS(米国代謝・肥満外科学会)/IFSOガイドライン」ですでに予想されているように、がん予防における減量手術の長期的な利点のもう1つの重要な確認であります。このガイドラインはAngrisani教授のほか、IFSOの現会長である米国ハーバード大学のScott A. Shikora教授、IFSOの次期会長であるオーストリア・ウィーン医科大学のGerhard Prager教授の共作です。
この研究はがんの発生率と死亡率の比較に基づいています。 データはがんの種類、進行度、性別、手術の種類ごとに分類されました。肥満手術を受けている約2万2000人の患者が参加し、手術を受けていない肥満者と比較するために照合されました。手術方法は、胃バイパス術、垂直胃切除術、胃バンディング(緊縛)術、十二指腸スイッチ術(切除とバイパスの組み合わせ)です。
Angrisani教授は「新しい研究は、肥満とがんの関係の理解に多大な貢献となります」と強調しました。この成果は科学文献に新たな証拠を追加し、肥満手術で達成される大幅な体重減少が複数種類のがんのリスクを軽減することを示しています。 肥満手術を受ける人の大多数である女性のがんリスクは大幅に減少します。肥満の患者と医師は、肥満手術を検討し、話し合う際に、これらの利点を真剣に考慮するべきです。
▽問い合わせ先
Manuela Mazzarella
E-info@healthmedia.it
Ph-+39 339 2096291