- ハイドリック&ストラグルズ(Heidrick & Struggles)、INSEAD、BCGによる新しいレポートで、役員の3分の2以上(68%)が持続可能性は今すぐ財務パフォーマンスに影響を与えることはほとんどないと感じ、持続可能性が今後中長期の財務成績にマイナスの影響を与えると考えている役員はたった10%であることが明らかになりました。
- また、この調査で持続可能性に取り組む、または取り組みを監督するのに十分な知識があると感じているのはグローバルな取締役の29%だけで、89%がESGトピックについていくために経営陣の入れ替えだけに頼っていることもわかりました。
- 回答者の合計48%が、持続可能性の知識や経験が(取締役選出のコンピテンシーマトリックスの)「まったくない」か「少ししかない」のいずれかに該当すると考えています。
シカゴ、2023年7月10日 /PRNewswire/ -- 取締役会の持続可能性アジェンダに関する認識と受容は大きく進歩していますが、キャパシティの問題や取締役会レベルでの(自己申告による)専門知識の不足から、環境、社会、ガバナンス(ESG)アジェンダの意向と優先度にずれがあることが明らかになりました。 これは、グローバルなリーダーシップアドバイザリーとオンデマンド人材ソリューションの一流プロバイダーであるハイドリック&ストラグルズ(Heidrick & Struggles、Nasdaq: HSII)が、世界トップのマネジメントコンサルティング企業の1つであるボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group、英文略称:BCG)と、グローバルなINSEADのコーポレートガバナンスにおけるリサーチ、イノベーション、インパクトのセンターオブエクセレンスであるINSEADコーポレートガバナンスセンター(INSEAD Corporate Governance Centre)と提携して本日発表した取締役役員を対象とする新しいグローバル調査に基づくものです。
このレポートでは、ESGの分野でビジネスへの社会的期待が高まっているにも関わらず、ほとんどの取締役会は持続可能性の問題に取り組むのに財務的なプレッシャーを感じていないことが明らかになりました。 調査対象者の68%が、持続可能性の検討事項は現在の財務パフォーマンスに「影響ない」または「わずかに影響がある」と述べていますが、52%は「正しい行動」だからという理由で持続可能性に取り組んでおり、同じくらいの数の回答者(51%)が法的要件を理由に挙げています。
2023年持続可能性時代における取締役会の役割(The Role of the Board in the Sustainability Era 2023)は、ESG全体の問題に対する取締役会の認識と、持続可能性に対する意欲が取締役会の取り組みにどのように影響し、再編しているかを検証するグローバル調査です。調査結果で、どのように取締役会が独自の構成、ガバナンス、プロセスの検討事項を適応させているかが明らかになっていますが、持続可能性に対する組織の熱意とステークホルダーの期待を満たせているか成功度合いは様々です。
レポートによると、持続可能性の重要性と、優先事項に常に注意を払うために必要となる時間と労力の対立関係は変わらぬテーマのようです。 調査対象の取締役の大多数(79%)が、持続可能性がもたらす戦略的な機会とリスクを明確に理解していると述べていますが、持続可能性の計画や目標について効果的に課題を管理し、実施内容を監督するための十分な知識があると答えたのはたったの29%でした。
調査では、コーポレートガバナンスや責任の伝統はそれぞれ異なっても、こうした課題が世界的な現象であり、地域や部門で明白な違いはほとんどないことが強調されています。
「取締役会の仕事は、近年さらに大変になってきています。 不安定な経済、社会運動、なかなか到達できない重要な気候目標などの背景があり、取締役会にはビジネスの従来の運営状況や財務状況をはるかに超える新たな範囲の専門知識が必要になっています」と、ハイドリック&ストラグルズの欧州CEO&取締役会の共同責任者であるAlice Breeden氏は述べています。 「持続可能性についての前進を改善するには、現在の環境の課題に取り組むために、取締役会でのさらなる教育、役員の幅広い多様性、ESGの優先を標準化する必要があるのは明らかです。」
ステークホルダーのプレッシャーが行動の動機に
役員は、行動の主な動機として投資家などの資本提供者からの期待が増していることと、人材の呼び込みと保持における持続可能性の重要性を挙げています。 回答者の約4分の1が、持続可能性をビジネスに取り入れないと長期的な財務リスクがあると考えています。 10%が中長期的な財務状況にマイナスの影響があると予想し、13%が中長期的に生き残りに関わると考えています。
「現在、取締役会を含め、組織は来たる法令要件や報告要件で完全に手一杯です。 持続可能性への取り組みは、ほぼステークホルダーからのプレッシャーで推進されています。 これはリスク回避と防衛行動を引き起こし、組織が必要最低限のことしかしなくなります」と、Ron Soonieus氏(BCGのシニアアドバイザー兼INSEADレジデンスディレクター兼レポート共同執筆者)は述べています。 「新しいルールと規則は明確な目的を提供してくれますが、遵守したからといって企業の長期的な成功を保証してくれるわけではありません。 ですが取締役会は必死にそうしようとしていて、半数の回答者が遵守すれば、持続可能性はカバーされると考えています。 長期的なトレンドがどのように企業の未来の価値に影響するか明確に理解していると述べた回答者はたった34%でした。 取締役会には、持続可能性を長期的戦略の不可欠な部分にすることに十分な重きをおき、競争の優位性の源として考えるという重要な役割があります。」
取締役会は持続可能性に注目するようになっているが、まだ格差がある
社会におけるビジネスの役割に対する期待に明らかな変化があり、取締役役員にとって新しい課題とコンピテンシー要件が生まれています。 こうした高まる期待が、財務の監督、リスクの管理、企業のリーダーシップの選択という従来の取締役会の責任に加わっています。同時に取締役会はAIが示唆するもの、新しい地政学的リスク、変化する労働モデルについて迅速にスキルを向上させる必要もあります。
回答者の3分の2以上(69%)が、取締役会の権限が増えて、役員の時間的制約も増していると報告しています。 特にエネルギー(77%)と金融および保険(74%)セクターの取締役役員の割合が高く、この2つのセクターでは、より多くのエネルギーに対する世界のニーズと気候変動のバランスをとるために新しいリスクと機会が生まれています。
「持続可能性は、その重要性がビジネスと社会の仕組みに浸透し続けているため、取締役会の信任義務の一部となり、取締役会のアジェンダで優先されるようになってきています」と、INSEADコーポレートガバナンスセンターのエグゼクティブディレクターであるSonia Tatar氏は述べています。
彼女はこう付け加えています。「かつてないほど取締役会への責任が重くなったことで、従来と異なるトップの管理責任から、持続可能な影響と行動を実現する様々なステークホルダーと組織全体に対する集団的リーダーシップまで、ガバナンス変革の推進に基本となる知識の格差を埋めるための対象を絞った教育が必須であることが示されています。」
取締役役員の経歴が責められるべきなのか?
回答者の合計48%が、持続可能性の知識や経験が(取締役選出のコンピテンシーマトリックスの)「まったくない」か「少ししかない」のいずれかにあたると考えています。 意外かもしれませんが、持続可能性に関する経験が(CEO雇用の評価基準の)「まったくない」に該当すると答えた取締役役員は24%にのぼりました。
持続可能性をビジネスに取り入れる
取締役役員は、持続可能性をビジネス全体の意思決定に取り入れることについて、改善の余地があると考えています。 66%の回答者が、持続可能性の検討事項をビジネス戦略に完全に取り入れるべきだと述べていますが、 今すぐ取り入れるべきだと答えているのはたった38%でした。
持続可能性の計画に有意義な時間を費やせていない理由を尋ねたところ、72%が持続可能性以外の、最優先の事柄に時間を使う必要があるからだと答えました。
重点分野として優先的な持続可能性に時間とリソースをさくことについて課題は残りますが、リーダーたちはさらなる持続可能性の成果を促進するのに欠かせないものとして、持続可能性を他の戦略的な検討事項に取り入れることの価値と重要性を強調しました。
以上
レポートについて:
ハイドリック&ストラグルズ、BCG、INSEADコーポレートガバナンスセンターの調査では、25ヶ国以上、19の産業の回答者879名の意見が集まりました。 同時に、討論会やディスカッションが世界中の都市で開催され、約200人の取締役が参加しました。
2023年前半に行った調査の回答者は幅広い取締役の経験があり、3分の2が任期6年以上の役員であり、3分の1が10年以上その役割を務めています。 2022年に発表した同様の調査の結果と比べて、今回の調査は3倍以上の回答者が集まり、このことは取締役の間で持続可能性に対する意識が高まっていることを示唆しています。
ハイドリック&ストラグルズについて
ハイドリック&ストラグルズ(Heidrick & Struggles、Nasdaq: HSII)は、世界トップレベルの組織におけるシニアレベルの人材とコンサルティングのニーズに対応する、グローバルなリーダーシップアドバイザリーとオンデマンド人材ソリューションの一流プロバイダーです。信頼できるリーダーシップアドバイザリーとして、お客様とパートナーシップを結び、エグゼクティブサーチ、多様性と包括性、リーダーシップの評価と開発、組織とチームの加速化、文化の形成、オンデマンドの独立した人材ソリューションに関するサービスと製品を統合して、将来に向けたリーダーと組織の育成に取り組んでいます。65年以上前に、ハイドリック&ストラグルズはエグゼクティブサーチ業界のパイオニアとして活動を開始しました。現在、ハイドリック&ストラグルズ(Heidrick & Struggles)は、顧客企業が一度に1つのリーダーシップチームで世界を変えられるような、人材・能力開発の統合ソリューションを提供しています。®www.heidrick.com
世界のビジネススクール、INSEADについて
世界トップかつ最大のビジネススクールの1つとして、INSEADは人、文化、アイデアを集め、ビジネスと社会を変える責任あるリーダーを育てています。 INSEADの研究、指導、パートナーシップは、このグローバルな視点と文化的多様性を反映しています。
ヨーロッパ(フランス)、アジア(シンガポール)、中東(アブダビ)、そして北米(サンフランシスコ)に位置し、INSEADのビジネス教育と研究は4つの地域に広がっています。 42ヶ国から集まった165人の著名な教職員が、経営学修士、MBA、グローバルエグゼクティブMBA、専門的な修士(エグゼクティブマスターインファイナンスおよびエグゼクティブマスターインチェンジ)、博士プログラムで年間1500人以上の学生に刺激を与えています。さらに、毎年11,000人以上のエグゼクティブがINSEADエグゼクティブ教育プログラムに参加しています。
INSEADは今後も、すべてのプログラムにおいて最先端の研究を行い、革新を行っていきます。 どこでも活躍できる知識と意識を持ったビジネスリーダーを輩出しています。 INSEADのコアバリューは、学問のエクセレンスを推進し、世界のビジネススクールとしてグローバルコミュニティに従事することにあります。
INSEADコーポレートガバナンスセンター
INSEADコーポレートガバナンスセンター(ICGC)は、世界のコーポレートガバナンスの知識と実践に独自の貢献を行っています。 コーポレートガバナンス分野のリサーチ、イノベーション、インパクトにおいて一流のセンターであることを目指しています。 教育ポートフォリオとアドボカシーを通じて、ICGCは公共コミュニティおよびステークホルダーのコミュニティ内で信頼を築き、ビジネスが経済市場だけでなく、グローバルな社会環境を改善するための力強い戦力になれるように取り組んでいます。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)について
ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)は、ビジネスや社会のリーダーたちと提携し、最も重要な課題に取り組み、最大の機会を獲得することを目指しています。BCGは1963年に設立され、ビジネス戦略の先駆者として知られています。今日、当社はお客様と緊密に連携して、すべての利害関係者に利益をもたらすことを目的とした変革的アプローチを採用することで、組織の成長、持続的な競争優位の構築、そしてプラスの社会的インパクトの促進を後押ししています。
当社の多様性に富んだグローバルチームは、業界や機能に関する深い専門知識と、現状に疑問を投げかけ、変化を喚起する多様な視点を持ち合わせています。BCGは、最先端の経営コンサルティング、テクノロジーとデザイン、コーポレートとデジタルベンチャーを通じてソリューションを提供します。当社は、クライアントの成長を支援し、世界をより良い場所にすることを目標に、社内全体およびお客様の組織のあらゆるレベルにおいて、独自のコラボレーションモデルで仕事をしています。
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