· ORSERDU(エラセストラント)は、腫瘍の最大40%に認められるESR1変異(ESR1-mut)を有するエストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の進行・転移性乳がんに対して2023年1月にFDAにより承認された
· ESR1-変異を有する患者且つ、CDK4/6阻害剤(CDK4/6i)の投与期間が12カ月以上ある場合、エラセストラントによる2次治療では、無増悪生存期間(PFS)中央値が8.6カ月、標準治療(SOC)では1.9カ月となったことが前回のサブグループ解析で示された。
· この新しいポストホックサブグループ解析は、非検出型ESR1-変異を有するER+/HER2乳がん患者におけるエラセストラントの潜在的役割に関する理解を深めるものである。 CDK4/6i治療後6カ月以内に進行した患者のPFS中央値は、エラセストラントで5.32カ月、SOCで1.87カ月となった。
· 今回のデータは、探索的ではあるが、転移性乳がんの2次治療における経口内分泌療法としてのエラセストラントの理解を深めるものである。
フィレンツェ(イタリア)およびニューヨーク, 2023年5月28日 /PRNewswire/ -- イタリアの大手医薬品・診断薬企業であるMenarini Group(以下、Menarini社)とMenarini社の完全子会社であるStemline Therapeutics(以下、Stemline社)は、本日、CDK4/6iによる治療後6カ月以内に病状が進行したER+、HER2-進行または転移性乳がん患者で非検出型ESR1-変異に対してエレスタントの単剤経口が有効である可能性があると示唆した主要臨床試験EMERALDの新しい分析結果を発表しました。 この新しいポストホックサブグループ解析の結果は、イリノイ州シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表される予定です。
EMERALDは、第3相登録試験で、SOC内分泌単剤療法(フルベストラント、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン)に対して、エラセストラントのPFSが統計的に有意であることが示されました。 今回の結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)は2023年1月27日、ER+、HER2、ESR1変異の進行または転移性乳がんで、少なくとも1ラインの内分泌療法後に病勢進行した閉経後女性または成人男性の治療薬としてORSERDU(エラセストラント)の承認を取得しました。
ESR1変異は、ER+、HER2-進行性または転移性乳がんの最大40%に存在し、標準的な内分泌療法に対する抵抗性のドライバーであることが知られています。
重要なことは、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2022で発表されたEMERALDのPFS結果の以前のサブグループ解析で、CDK4/6iの前治療期間がエラセストラントのPFS延長と正の相関があることが示されましたがSOCとは関係がありませんでした。 EMERALD試験の無作為化前にCDK4/6iによる治療を12カ月以上受けていたESR1-変異患者において、エラセストラントのPFS中央値は8.6カ月、SOCでは1.9カ月であり、絶対差は6.7カ月、そして進行または死亡のリスクは59%低下しました(HR =0.41 95% CI: 0.26-0.63)。
ASCO 2023で発表されるこの新たな解析では、EMERALD試験に登録された非検出型ESR1-変異の患者のうち、急速に病状が進行したサブグループにおいてエラセストラントによる治療を評価しました。CDK4/6i療法後6カ月以内に病勢が進行した患者を対象とした結果、エラセストラント群のPFS中央値は5.32カ月、SOCを受けた患者の1.87カ月となりました(HR 0.518;95% CI: 0.216-1.165)。
「ER+/HER2-転移性乳がんでは、CDK4/6阻害剤と併用する内分泌療法が第一選択治療の主流となっています。 2022年12月のSABCSで発表したように、CDK4/6i療法の前治療期間が長いESR1変異の患者に対して、その後エラセストラントを投与した場合、PFS中央値が標準治療の1.9カ月に対して8.6カ月となったことは有望な結果です。 これまで、非検出型ESR1変異の患者にエラセストラントが有効である可能性は未解決の課題でした。 ASCO 2023で発表された結果は、探索的ではありますが、非検出型ESR1変異に対するCDK4/6i治療後6ヶ月以内の病勢進行後にエラセストラントを経口投与することにより、こうした患者にとって臨床効果が期待できることを示唆しており、さらなる研究の余地があります」と、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの乳腺腫瘍科の医師兼教授であるVirginia Kaklamani医学博士は述べています。
安全性データは、以前に報告された結果と一致していました。 吐き気を含むほとんどの有害事象(AE)はグレード1および2であり、グレード4の治療関連AE(TRAE)は報告されませんでした。 TRAEが原因で治療を中止した患者は、エラセストラント投与群で3.4%、SOC投与群で0.9%にとどまりました。 治療関連と評価された死亡例は、いずれの治療群でも報告されませんでした。 血液学的な安全性シグナルは認められず、いずれの治療群においても洞性徐脈を呈した患者は見られませんでした。
「Menarini Groupは、がん治療における最大のアンメットニーズに対応する革新的なソリューションを開発することに注力しています。」と、Menarini GroupのCEOであるElcin Barker Ergun氏は語りました。 続けて、「ORSERDUはESR1変異を有する進行性・転移性ER+/HER2腫瘍に対して、20年ぶりにFDAから承認された唯一の経口内分泌療法を提供する、そのための重要なステップとなります。 この新しいデータは、エラセストラントが、治療法の選択肢が限られている転移性乳がんの患者さんを助けることができる、さらなる潜在的な領域についての理解を深めるものです」と、コメントしました。
ASCO2023 年次総会
演題タイトル: ESR1変異が検出されないエストロゲン受容体陽性、HER2陰性(ER+/HER2-)の進行・転移性乳がん(mBC)におけるエラセストラント経口投与と標準治療の比較(EMERALD):CDK4/6i+内分泌療法(ET)の前治療期間によるサブグループ解析
演題登録番号: 1070|ポスター番号:291
セッションタイトル: 乳がん - 転移性
セッション日時: 2023年6月4日、午前8:00(CDT/米国中部標準時)、ホールA
プレゼンテーションの種類: ポスター
EMERALDフェーズ3試験について(NCT03778931)
EMERALD 第三相臨床試験は、ER+/HER2- 進行性・転移性乳がん患者においてElecestrant を 2 次治療または 3 次治療の単剤療法として評価するための無作為非盲検実薬対照試験です。本試験では、CDK4/6阻害剤を含む第一次または第二次内分泌療法による治療歴のある患者478名が登録されました。患者はエラセストラントまたは治験責任医師が選択した承認済みホルモン剤のいずれかに無作為に割り付けられました。主要評価項目は、全患者群とエストロゲン受容体1遺伝子(ESR1)変異患者群における無増悪生存期間(PFS)でした。腫瘍にESR1変異を有する患者群において、エラセストラントはSOCの1.9ヶ月に対して3.8ヶ月のPFS中央値を達成し、進行または死亡のリスクをSOCに対して45%低減しました(PFS HR=0.55, 95% CI: 0.39、0.77)。
エラセストラント(ORSERDU®)について
効能・効果
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ORSERDU(エラセストラント)345mg錠は、エストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性、ESR1変異の進行または転移性乳がんで、少なくとも1ラインの内分泌療法後に疾患が進行した閉経後女性または成人男性の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。
処方情報の全文は、こちらをご覧ください:www.orserdu.com
重要な安全性情報
警告および注意事項
· 脂質異常症:ORSERDUを服用した患者で、高コレステロール血症および高トリグリセリド血症がそれぞれ30%および27%の発現率で認められました。また、グレード3および4の高コレステロール血症および高トリグリセリド血症の発現率はそれぞれ0.9%および2.2%でした。ORSERDUの投与開始前および投与中は定期的に脂質プロファイルを測定してください。
胚・胎児毒性
· 動物における所見とその作用機序から、ORSERDUを妊婦に投与した場合、胎児に害を及ぼす可能性があります。妊娠中の女性および妊娠の可能性のある女性には、胎児への潜在的なリスクについて注意を促してください。生殖能力を有する女性には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は効果的な避妊を行うようアドバイスしてください。生殖能力を有する女性のパートナーを持つ男性患者には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は効果的な避妊を行うように指導してください。
副反応
· ORSERDUを投与された患者のうち12%に深刻な有害反応が発生しました。ORSERDUを投与された患者ののうち1%以上に発現した深刻な副作用は、筋骨格系疼痛(1.7%)および吐き気(1.3%)でした。致命的な有害反応は、心停止、敗血症性ショック、憩室炎、原因不明(各1名)など、ORSERDUを投与された患者の1.7%に発生しました。
· ORSERDUの臨床検査値異常を含む主な有害反応(10%超え)は、以下の通りです。筋骨格系疼痛(41%)、吐き気(35%)、コレステロール増加(30%)、AST増加(29%)、トリグリセリド増加(27%)、疲労(26%)、ヘモグロビン減少(26%)、嘔吐(19%)、ALT増加(17%)、ナトリウム減少(16%)、クレアチン増加(16%)、食欲低下(15%)、下痢(13%)、頭痛(12%)、便秘(12%)、腹痛(11%)、顔面潮紅(11%)、消化不良(10%)。
薬物相互作用
· CYP3A4誘導剤および/または阻害剤との併用:ORSERDUと強力または中程度のCYP3A4阻害剤との併用は避けてください。強力または中程度のCYP3A4誘導剤とORSERDUの併用は避けてください。
特定の患者層への使用
· 授乳中:授乳中の女性には、ORSERDUによる治療中および最終投与後1週間は授乳をしないよう指導してください。
· 肝機能障害:重度の肝機能障害(Child-Pugh C)のある患者へのORSERDUの使用は避けてください。中等度の肝機能障害(Child-Pugh B)のある患者にはORSERDUの投与量を減らしてください。
· 小児患者におけるORSERDUの安全性とその有効性は確立されていません。
疑われる副反応の報告については、Stemline Therapeutics株式会社(電話:1-877-332-7961、メール:StemlinePVG.SM@ppd.com、FDA:1-800-FDA-1088、www.fda.gov/medwatch)までご連絡ください。
現在、欧州医薬品庁(EMA)において、販売許可申請の審査が行われています。
また、エラセストラントは、転移性乳がんを対象とした複数の臨床試験において、単独または他の治療法との併用で検討されています:ELEVATE(NCT05563220)、ELECTRA試験(NCT05386108)、およびELCIN試験(NCT05596409)です。また、エラセストラントは、乳がんの初期ステージにおいても評価を行う予定です。
Menarini Groupは、2020 年 7 月に Radius Health、Inc.からエラセストラントのグローバルライセンス権を取得しました。これにより、Menariniグループは、エラセストラントのグローバルな登録、商業化、およびさらなる開発活動を全面的に請負うことになります。
Menarini Groupについて
Menarini Groupは、売上高40億ドル以上、従業員17,000人以上の国際的な大手医薬品・診断薬企業です。Menarini社は、アンメットニーズの高い治療領域にフォーカスし、心臓病、腫瘍、肺炎、消化器病、感染症、糖尿病、炎症、鎮痛剤などの製品を提供しています。同社は、18の生産拠点と9つの研究開発センターを有し、世界140カ国で広く製品販売を展開しています。詳細については、www.menarini.comをご覧ください。
Stemline Therapeuticsについて
Stemline Therapeuticsは、Menarini Groupの完全子会社で、新規のがん治療薬の開発および商業段階のバイオ医薬品会社です。 Stemline社は、米国において、エストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性、ESR1変異の進行または転移性乳がんで、少なくとも1ラインの内分泌療法後に疾患が進行した閉経後女性または成人男性の治療に適応を持つ経口低分子内分泌療法剤ORSERDU®(エラセストラント)を商業展開しています。また、Stemline社は、攻撃的な血液がんである芽球性形質細胞性樹状細胞新生物(BPDCN)の患者さんを対象に、CD123を指向する新規標的治療薬ELZONRIS®(tagraxofusp-erzs)を米国および欧州で販売しており、現在までに米国および欧州で唯一承認されているBPDCN治療薬となっています。同社は、多発性骨髄腫を対象としたXPO1阻害剤Nexpovio®を欧州で販売しています。同社はさらに、固形がんおよび血液がんを対象に、さまざまな開発段階にある低分子化合物および生物学的製剤の広範な臨床パイプラインを有しています。
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