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パリ , 2023年5月22日 /PRNewswire/ -- クリスティーズが開催した、2023年初の格式ある大規模ニューヨークセールは、「絶対的な傑作」の不在により「大記録」と呼べるほどの結果を生まないまま幕を閉じました。5月11日、多くの作品に1,000万ドルを超える値が付けられたものの、どの作品も5,000万ドルの壁には届きませんでした。昨年の同セールでは、Andy Warholの《Shot Sage Blue Marilyn》（1964）が1億9,500万ドルという落札額を記録しましたが、そのピークはもはやかなり遠のいてしまったかのように感じられます。
Henri Le Douanier Rousseau –The Flemish (1910), sold for $43.5 million at Christie’s on May 11, 2023
クリスティーズの2023年5月11日のセールで4,350万ドルで落札されたHenri Le Douanier Rousseau作《The Flamingoes》（1910）
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2023年5月11日にクリスティーズニューヨークで開催されたオークションの売上高順アーティストトップ15
2023年5月11日にクリスティーズニューヨークで開催されたオークションの売上高順アーティストトップ15
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Artmarket.comのCEOであり、Artprice創設者のthierry Ehrmannは、「アート市場とはピラミッドです」と述べます。「地球のあらゆる場所で、あらゆる価格帯での取引が無数に行われていることで、アート市場は非常に強固な地盤を保つことができています。ただし、どの年も通常、著名な傑作による卓越した結果が少なくとも1件は生まれ、それがこのピラミッドの頂点を飾っています。今年は、そんな、頂点に輝くような結果はまだ生まれていません」
息をひそめる市場
この状況は、近年クリスティーズが築き上げてきた伝統とはやや趣を異にするものといえそうです。というのも、François Pinault率いるこのオークションハウスは、5月に開催されるニューヨークセールでは、ここ数年というもの、下記のように特筆すべき好結果をアート市場にもたらすことを常としてきていたからです。
- 2019年5月には、Jeff Koonsの彫刻作品《Rabbit》（1986）が9,110万ドルで落札、Koonsは最も高額な存命アーティストに。
- 2020年5月のセールはコロナ禍により延期。
- 2021年5月のセールでは、Pablo Picassoの《Woman seated near a window (Marie-Thérèse)》（1932）が1億300万ドルという落札額を記録し、2年前に続き1億ドルの大台を突破。
- 2022年5月には、Thomas Ammannコレクションから出品されたAndy Warhol作品《Shot sage blue Marilyn》（1964）が、Larry Gagosianにより、アート作品落札額として史上第2位となる1億9,500万ドルで落札。
2023年5月11日に開催された、20世紀アートを扱うクリスティーズの主要セールで記録された最高額は、「税関吏」の愛称を持つHenri Rousseauが亡くなる年に描いた絵画作品に付けられた、4,350万ドルという額にとどまりました。この額は、Picassoをこよなく愛したこの画家にとっては目覚ましいオークション新記録となりましたが、この格式あるセールの最高額としては、控えめすぎるとさえいってもよい印象です。
これは、クリスティーズが昨年秋に手掛けたPaul G. Allenコレクションのセールで、わずか一夜のうちになんと5ロットが1億ドルを超える額で落札され、華々しい記録の数々が打ち立てられた、あの頃の勢いが衰えつつあることを示しているのでしょうか。
この夜、最も目覚ましい記録となったのは、Paul G. Allenコレクション所蔵作品ながら、昨年秋のセールには出品されなかった2作品のオークション結果でした。そのうちの一つは、 Georgia O'Keeffeの《Black Iris VI》（1936）で、500万～700万ドルという推定落札額に対し、2,110万ドル（手数料込み）という落札額を記録しました。同作品が前回オークションに出品されたのは1998年のことで、当時の落札額は110万ドルでした。今回、20倍近い値が付いたことになります。もう一作品は、David Hockneyの作品《Early Blossom, Woldgate》（2009）で、こちらも推定落札額は500万～700万ドルであったのに対し、1,940万ドルという高値を記録しました。
販売保証はあれど、高額落札の保証はなし
2023年5月11日にクリスティーズニューヨークのセールに出品された70作品のうち、保証が付けられていなかったのはわずか33作品に過ぎませんでした。近年、大規模なアートセールでは、S. I. NewhouseコレクションやPaul G. Allenコレクションの全出品作品がそうであったように、作品に販売保証が付けられることがますます一般的になっています。また、上記の両コレクション以外にも、Alan and Dorothy Pressコレクションなど、多くの著名コレクションがこのケースに当てはまります。
こういったロットについて、クリスティーズは以下のような注意事項を発表しています。「クリスティーズは、販売委託を受けたロットのセール結果について、直接的な金銭的利害関係を有する場合があります。通常、これには、クリスティーズが売主に対し、オークション結果にかかわらず、その作品の最低売却額を売主に支払うことを保証している場合が該当します。これは、最低価格保証と呼ばれるものです。こちらは、それに該当するロットです」
2022年春には、クリスティーズの20世紀アートセッションのロットの30％が保証の対象となりました。これは、全56ロットのうちの17ロットで、この中にはAnne H. Bassコレクションのセールに出品された2作品も含まれています。これに対し、今年、クリスティーズの保証の対象となったロットは、全ロット中の52％に上りました。しかしながら、販売保証が多く行われるようになったことは、必ずしもより高いオークション価格が得られることを意味するわけではありません。2023年5月11日のセールで、クリスティーズが記録した合計売上額は、昨年の同セッションでの合計売上額8億3,220万ドルに対し、計5億660万ドルでした。
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