2023年の世界最強/最弱パスポート

ロンドン, 2023年1月10日 /PRNewswire/ -- 新年を迎えるにあたり、Henley Passport Index(ヘンリー・パスポート・インデックス)(https://www.henleyglobal.com/passport-index )の最新の結果は、途方もない激動に特徴付けられる世界に対して興味深い知見を提供し、今後何が待ち受けているかを明らかにしている。国際航空運送協会(IATA)(https://www.iata.org/ )の独自データに基づくこのインデックスは、世界の199のパスポートのすべてを、所有者がビザを事前取得せずにアクセスできるデスティネーション数に応じてランク付けするもので、日本は5年連続で首位に立っている。

日本国民は現在、227のデスティネーションのうち、驚くべきことに193をビザなしで訪れることができ、2位タイの韓国とシンガポールは、ビザなし/到着時ビザのスコアが192だった。ドイツとスペインは世界190のデスティネーションにビザなしでアクセスでき、3位の座を分け合った。英国と米国は6位と7位にとどまり、スコアはそれぞれ187、186で、ほぼ10年前に分け合ったトップの座に返り咲く可能性はますます低くなっているようだ。

アフガニスタンはHenley Passport Index(https://www.henleyglobal.com/passport-index )の最下位にとどまり、スコアはわずか27で、ビザなし渡航が可能なデスティネーションは日本より166少なく、インデックスの18年の歴史で最大のグローバル・モビリティー格差が生じた。Henley & Partnersの会長であるChristian H. Kaelin博士(https://chriskalin.com/ )は、ビザなし渡航と世界経済へのアクセスとの関連性に関する同社の最新の調査により、パスポートパワーが具体的な金銭面で何を意味するのかが明らかになったと述べた。「世界市民にとって、パスポートにより提供される経済的流動性と金銭的機会のより優れた尺度は、彼らがビザなしでアクセスできる世界のGDPの割合に目を向けることだ。それぞれのパスポートが提供する、世界経済へのアクセスの度合いに関する当社の最新の調査は、投資家向けのツールであり、われわれの世界を定義する拡大し続ける不平等と富の格差についての新しい知見を提供する」

▽パスポートの強さと経済力の直接的関係

マクロレベルでは、Henley & Partners(https://www.henleyglobal.com/ )の新しい調査によると、世界経済の70%以上にビザなしでアクセスできるのは世界中でわずか6%のパスポートしかないことが明らかになった。また、自国のパスポート保有者に対し世界の227デスティネーションの5分の4以上へのビザなしアクセスを提供しているのはわずか17%の国々しかない。

日本のパスポートは世界の85%にビザなしでアクセスでき、これらの国々を合わせると、世界経済のなんと98%を占めている(日本のGDPへの貢献は約5%である)。対照的に、インデックスの下端にあるナイジェリアのパスポートは、世界のGDPのわずか1.5%を占める46デスティネーション(世界の20%)にのみビザなしでアクセス可能である。最もランクの低いアフガニスタンのパスポートがビザなしでアクセスできるのは、世界のわずか12%で、世界の経済生産の1%に満たない。

Islamic Development Bank Institute(イスラム開発銀行研究所)の経済調査統計局長であるAreef Suleman博士(https://www.henleyglobal.com/publications/global-mobility-report/2023-q1/mobility-today/dr-areef-suleman )は、より安定した経済への国境を越えたビザなしアクセスは、投資家が国または管轄区域に固有のリスクを軽減するのに役立つと述べた。「一般に、世界の経済生産へのアクセスが増えることは、あらゆる個人が利用できる製品のバスケットが拡大されるため、有利である。これは国際貿易を通じても実現できるが、物理的なアクセスのオプションははるかに大きく、より質の高い教育や医療など、輸出できないサービスの利用にまで及ぶ」

世界のGDPに占める割合に関しては、米国と中国がそれぞれ25%、19%で大きなシェアを占めているが、米国のパスポート保有者はさらに世界の経済生産の43%にビザなしでアクセスでき、合計で68%になる。一方、中国のパスポート保有者については、ビザなしアクセスによる追加は7%のみで、合計は世界のGDPの26%にとどまる。

別の一連の比較を見ると、韓国とロシアの国内GDPはほぼ等しく、世界の経済生産の約1.9%である。しかしながら、韓国のビザなし渡航のスコアは192で、パスポート保有者は世界のGDPの81%にアクセスできる一方、ロシアのスコアはわずか118で、パスポート保有者は世界経済の19%にしかアクセスできない。世界第5位の経済大国であるにもかかわらず、インドの状況はさらに悪い。同国のパスポート保有者がアクセスできるのは、世界でわずか59のデスティネーションであり、世界のGDPについては、インドはその約半分を占めながらも、わずか6.8%にしかアクセスできない。

Lloyd's Bank Commercial Bankingの元チーフエコノミストであるTrevor Williams教授(https://www.henleyglobal.com/publications/global-mobility-report/2023-q1/mobility-today/prof-trevor-williams )は、この調査は、渡航能力、ある国への外国投資、貿易の増加、および経済成長の間の因果関係を証明していると述べた。「これらのつながりは相互に強化し、集積する。スキルと人材は、就労し、投資し、移動することが可能な場所に向かい、同じことをしようと考える他の人々を引き付け、ポジティブな循環を作り出す」

▽ウクライナでの戦争:衝撃波は続く

ウクライナ戦争は、ロシアとウクライナのHenley Passport Indexのスコアにまだ大きな影響を与えておらず、約1年前の侵攻以来、両国は「理論上」ほぼ同じ位置を維持している。ロシアはスコアが118で現在49位、ウクライナは13位上の36位でスコアは144である。しかし、空域閉鎖と制裁により、ロシア市民は、顕著な例外であるアラブ首長国連邦(UAE)とトルコを除いて、ほとんどの先進国への渡航を事実上禁止されている。

一方、ウクライナ人は、今世紀最大の欧州の難民危機に対応する緊急計画の下で、欧州連合(EU)圏に最大3年間居住し、就労する権利を与えられている。過去10年間で24位上昇し、Henley Passport Indexにおいて既に最大の上昇国の1つであるウクライナは、EUに加盟した場合、世界最強のパスポートのトップ10に入る可能性がある。EUが昨年6月に記録的な速さでウクライナのEU候補国の地位の申請を承認したことを受け、加盟交渉は数カ月後に本格的に開始される予定である。

金融ジャーナリストで著述家のMisha Glenny氏(https://www.henleyglobal.com/publications/global-mobility-report/2023-q1/global-trends/russiaukraine-war-casts-global-shadow-post-covid-landscape )は、継続中の紛争が、2023年を通じて世界の政治と経済にどのように影響するかについて、どれほど強調してもし過ぎることはないと述べた。「これは、1人の戦闘員が地球上のどの国よりも多くの核弾頭を保有する残忍な地上戦だ。ロシアとウクライナの経済は、エネルギーと農業という世界経済の2つの重要な部門に大きな影響を与えている。これは物価の急激な上昇に反映されており、管理可能なインフレ闘争を危険なものにしている」

アジア諸国は依然としてインデックスのトップを占めているが、湾岸諸国のパスポート力の向上が来年の重要なトレンドとして認識されている。UAEは、過去10年間で驚くべきことに49位上昇した。UAEの2013年のランキングは64位で、ビザなし渡航のスコアはわずか72だったが、現在は15位、スコアは178で、世界のGDPの約70%にアクセスできる。アナリストは、クウェートとカタールが今年、EUとの間でビザなし渡航協定を締結すると予想している。これにより、両国のHenley Passport Indexのスコアは劇的に向上する。

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