【北京2022年9月13日PR Newswire】COVID-19パンデミックや現在の景気後退などの問題にもかかわらず、技術革新と国際化が今後数年のアジアの成長をけん引し続けるだろうと、8日のInternational Finance Forum(IFF、国際金融フォーラム)第24回学術セミナーで討議参加者らは述べた。
この50年間に驚異的な成長を遂げたアジアは、多くのアジアの政府の現実的な政策と手法の恩恵を受けてきたと、中尾武彦・みずほリサーチ&テクノロジーズ理事長(アジア開発銀行(ADB)前総裁)は述べた。
セミナーは中尾氏の著書「The Rise of Asia: Perspectives and Beyond」(2022年7月にADBのウェブサイトで公開)の紹介で始まった。著書の中で、同氏は2013年から2020年までのADB在職期間を振り返っている。
IFFはアジアの現在の課題と機会について討議するため、著名なエコノミストらも招待した。参加者は、北京大学の林毅夫(Justin Yihu Lin)教授、戦略国際問題研究所(CSIS)のDaniel Runde上級副所長、ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO Asia)のHoe Ee Khor首席エコノミストら。
中尾氏は、工業化、技術開発、人口ボーナス、国際化がアジア台頭の推進力であると述べた。
中尾氏は「アジア・コンセンサスなどというものはない。先見性のある指導者らが主導する有効な政策、強固な体制、改革実施に際しての政府の決断力、学習能力、明確な将来展望が重要だった」と指摘した。
北京大学の林氏は、ワシントン・コンセンサスなどの標準的な経済理論は先進諸国経済と新興市場を区別することができなかった」と述べた。
林氏は「国際社会でアジアの発言権は重要だ」と述べた。
林氏は、この数十年のアジアの力強い成長と過去50年間に4.1%から24%に上昇した世界の国内総生産(GDP)総計に占める比率がこの地域の成功を最もよく説明していると付け加えた。
討議は、アジアの技術革新主導の開発、教育、投資活用、知的財産保護、民間部門の促進で政府が果たす重要な役割についても一致した。
パンデミックの間、サプライチェーン(供給網)の混乱が成長を妨げていたが、Runde氏は、多くの企業が製造の一部を中国から移す「チャイナ・プラス・ワン戦略」を採用しており、企業はサプライチェーン問題を再考する必要があると論じた。
Khor氏はこれに対し、中国の製造業エコシステムは代替するには進み過ぎていると語った。
Khor氏は「世界のサプライチェーンは非常に効率的で複雑なので、それを解体する試みはほとんど不可能だ」と述べた。
中国と米国の緊張が高まっており、討議では、双方のオープンな意思疎通が必要であることで一致した。専門家らは、安定した協調的な中米関係が地域の利益になると述べた。
Khor氏は、発展途上国は米中のインフラ投資競争から利益を得ることができると付け加え、林氏は、中国の成長が世界の他の地域にとって有益だと強調した。
林氏は、中国は経済を後押しするためのインフラ投資など多くの政策を採用しており、これにより中国国民の信頼が高まり、消費と投資が促進されると述べた。
IFFのJianhai Lin副会長(国際通貨基金(IMF)元書記)が討議を司会した。IFF学術セミナーは、高官、エコノミスト、学者らを集めて世界中の最新の出来事や展開について話し合うIFFの旗艦行事の1つである。
International Finance Forum(IFF)は2003年10月に北京で中国、米国、欧州連合(EU)、新興諸国など20以上の国・地域の金融・財務指導者と、国連、世界銀行、国際通貨基金(IMF)などの国際機関の指導者が創設した独立、非営利、非政府の国際機関である。IFFはF20(Finance 20)としての役割を果たしてきた対話と意思疎通、多国間協力のための長年にわたる高級プラットフォームである。
ソース:International Finance Forum (IFF)