EMAの迅速審査により、leniolisibの審査期間が標準的な210日から150日に短縮
Pharmingは2022年下半期にleniolisibの販売承認を申請する予定
ライデン、オランダ, 2022年8月2日 PR Newswire -- Pharming Group N.V.(「Pharming」または「同社」)(EURONEXT Amsterdam: PHARM)(Nasdaq: PHAR)は、欧州医薬品庁(EMA)ヒト用医薬品委員会(CHMP)がleniolisibの販売承認申請(MAA)の迅速審査を許可したと発表した。Leniolisibは、希少な原発性免疫不全症である活性化PI3Kデルタ症候群(APDS)の治療薬として、欧州経済地域(EEA)の12歳以上の成人、若者を対象に研究が行われてきた。Pharmingはこのまま、2022年10月にleniolisibのMAAをEMAに提出する予定である。
迅速審査により、CHMPのMAA審査期間が210日から150日に短縮される。EMAは、製品が公衆衛生および治療法の革新にとって重要であると判断した場合、要請に応じてMAAの迅速審査を許可している。
leniolisibの臨床開発には、対象患者集団において、リンパ節腫脹の縮小診断と免疫不全の是正という2つの主要評価項目の両方を達成した、本製品の第II/III相試験の良好なデータが含まれている。主要有効性結果は、プラセボに対するleniolisibの臨床効果が、指標となるlog10変換後のリンパ節腫脹病変の二方向積和(SPD)がベースラインから統計的に有意に減少し(p=0.0012)、ナイーブB細胞の割合がベースラインから増加することで証明される免疫機能障害の正常化(p<0.0001)により実証された。リンパ節腫脹病変の縮小とナイーブB細胞の割合の増加は、APDSの疾患マーカーの低下を示すもので、患者にとって重要である。
本試験において、leniolisibの忍容性は概ね良好で、両治療群において報告された有害事象の大部分は軽度に分類された。試験治療の中止に至った有害事象はなく、死亡例もなく、重篤な有害事象(SAE)の発生率はleniolisib群がプラセボ群より低かった。試験治療との関連が疑われるSAEは皆無だった。
PharmingのAnurag Relan最高医療責任者は、以下のようにコメントした。
「leniolisibの迅速承認審査が認められたことで、APDS患者の満たされていない医療ニーズの高さが浮き彫りになった。本製品は、この希少疾患に対する初の承認治療薬となる可能性がある。これはAPDSコミュニティーおよびPharmingにとって重要な節目であり、その基礎となったのは、2022年2月に当社が初めて公表した第II/III相試験の良好なデータだ。当社は引き続きleniolisibの承認審査を前進させるべく注力し、本年10月のMAA申請を予定しており、この重要な新製品を欧州の免疫学者、血液学者、およびその患者に使ってもらえるよう努めていく」
▽活性化ホスホイノシチド3-キナーゼデルタ症候群 (APDS) について
APDSは、100万人に約1-2人が罹患する、希少な原発性免疫不全症である。PASLIとしても知られ、白血球の成熟を制御する2つの遺伝子、PIK3CDまたはPIK3R1のいずれかの変異によって引き起こされる。これら遺伝子の変異は、PI3Kデルタ(ホスホイノシチド3-キナーゼデルタ)経路の過活動につながる(注1)(注2)。生理的免疫機能には、PI3Kデルタ経路でのバランスの取れたシグナル伝達が不可欠である。この経路が過活動状態になると、免疫細胞が成熟せず、適切に機能しなくなり、免疫不全や調節障害を引き起こす(注1)(注3)。APDSは、重篤な反復性副鼻腔肺感染症、リンパ球増殖、自己免疫、腸疾患などが特徴である(注4)(注5)。これらの症状は、他の原発性免疫不全症を含むさまざまな疾患と関連している可能性があるため、APDSの患者は誤診されることが多く、中央値で7年の診断遅れを経験している(注6)。APDSは進行性疾患のため、こうした遅れは、永久肺障害やリンパ腫など、時間の経過に伴う損傷の蓄積につながりかねない(注4-7)。この疾患を確定診断する唯一の方法は、遺伝子検査である。
▽Leniolisib(レニオリシブ)について
Leniolisibは、クラスIA PI3Kの110kDa触媒サブユニットのデルタアイソフォームの低分子阻害剤で、免疫調節作用や潜在的な抗腫瘍作用がある。Leniolisibは、ホスファチジルイノシトール-3-4-5-三リン酸(PIP3)の産生を阻害する。PIP3は(PDK1を介して)AKTを特異的に活性化し、増殖、分化、サイトカイン産生、細胞生存、血管形成、代謝など多くの細胞機能を制御する、重要な細胞内情報伝達物質として機能する。普遍的に発現するPI3Kアルファ、PI3Kベータと異なり、PI3Kデルタ、PI3Kガンマは主に造血器系の細胞に発現する。PI3Kデルタは、適応免疫系(B細胞と、程度は低いがT細胞)および自然免疫系(好中球、肥満細胞、マクロファージ)など数多くの細胞機能の調節で中心的役割を果たしており、PI3Kデルタがいくつかの免疫疾患に対する有効かつ効果的な治療標的になる可能性を強く示唆している。leniolisibはこれまで、健常な被験者を対象とした第1相ファースト・イン・ヒューマン試験と第II/III相登録可能試験の両方で忍容性は良好だった。
▽Pharming Group N.V.について
Pharming Group N.V.(EURONEXT Amsterdam: PHARM/Nasdaq: PHAR)は、希少疾患、衰弱性疾患、生命を脅かす疾患を持つ患者の生活を変えることに注力しているグローバルなバイオ医薬品企業である。Pharmingは、開発初期から後期段階にある低分子化合物、バイオ医薬品、遺伝子治療薬などのタンパク質補充療法や精密医療の革新的ポートフォリオを開発、商業化している。Pharmingは、オランダのライデンに本社を置き、世界中に配置した従業員が北米、欧州、中東、アフリカ、アジア太平洋の30を超える市場で患者にサービスを提供している。詳細については、www.pharming.com を参照。
内部情報
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参考文献
(注1)Lucas CL, et al. Nat Immunol. 2014;15:88-97.
(注2)Elkaim E, et al. J Allergy Clin Immunol. 2016;138(1):210-218.
(注3)Nunes-Santos C, et al. J Allergy Clin Immunol. 2019;143(5):1676-1687.
(注4)Coulter TI, et al. J Allergy Clin Immunol. 2017;139(2):597-606.
(注5)Maccari ME, et al. Front Immunol. 2018;9:543.
(注6)Jamee M, et al. Clin Rev Allergy Immunol. 2020;59(3):323-333.
(注7)Condliffe AM, Chandra A. Front Immunol. 2018;9:338.
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