*第3相臨床試験BOSTONの結果に基づき、販売許可される多発性骨髄腫の適応が拡大
*欧州医薬品委員会(CHMP)が2022年5月に出した肯定的見解を受けた許可
ニュートン(米マサチューセッツ州)、フィレンツェ(イタリア), 2022年7月22日 【PR Newswire】新たながん治療のパイオニアである商業期製薬会社Karyopharm Therapeutics Inc.(Nasdaq:KPTI)と、株式非公開の国際的大手製薬会社Menarini Group(「Menarini」)は21日、欧州委員会(EC)が、ファースト・イン・クラスの経口エクスポーティン1阻害剤「NEXPOVIO(R)(selinexor)」の週1回のボルテゾミブ(ベルケイド(R))および低用量デキサメタゾンとの併用(SVd)について、少なくとも1回の前治療歴のある成人の多発性骨髄腫治療薬として販売を許可したと発表した。今回、欧州連合(EU)内でNEXPOVIO(R)の適応拡大が認められたことで、条件付き販売許可は全面的許可に変更された。NEXPOVIO(R)の2つ目の適応となる今回の販売許可は、27の全EU加盟国およびアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、北アイルランドで有効である。欧州における商品化活動は全て、Menarini Groupの100%子会社であるStemline Therapeutics B.V.が担当する。
今回の許可は、SVdの週1回投与が、標準的なボルテゾミブ+デキサメタゾン(Vd)の週2回投与と比較して、疾患進行または死亡のリスクを統計的に有意に低減することを示した第3相試験BOSTONの結果に基づき、CHMPが2022年5月に出した肯定的見解を受けたものである。BOSTON試験の結果は2020年11月、ランセット誌(Grosicki, et al.)に掲載された。
KaryopharmのRichard Paulson社長兼最高経営責任者(CEO)は「欧州委員会がNEXPOVIO(R)の適応拡大を認めたことで、再発、あるいは現行の治療法に耐性を示すようになった多発性骨髄腫患者に新たな選択肢が提供されることになった」「この患者集団向けの認可取得を目指すとの決定は、世界中でselinexorが使用できるようにするという当社のコミットメントを示すものだ。欧州でNEXPOVIO(R)を商品化するMenariniと緊密に協力していきたい」と語った。
MenariniのElcin Barker Ergun最高経営責任者(CEO)は「NEXPOVIO(R)の認可は、毎年5万1000人近くが新たに多発性骨髄腫と診断されているものの、治療の選択肢が限られている欧州の患者にとって重要な前進だ」「当社は、患者と医師にとって有益な新しい治療選択肢を提供することを約束しており、NEXPOVIO(R)ができるだけ早く欧州各国で使用できるよう全力を挙げている」と語った。
▽BOSTON試験について
販売認可は、1-3回の前治療歴がある再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者402人を評価した多施設・無作為化試験(NCT03110562)である第3相BOSTON(ボルテゾミブ、Selinexor、デキサメタゾン)試験に基づいている。本試験は、週1回のSVd投与の有効性、安全性および特定の健康に関連した生活の質のパラメータを週2回のVd投与と比較するべく設計された。本試験の主要評価項目は無増悪生存期間、主な副次価項目は全奏功率、末梢神経障害発生率などだった。本試験の詳細については、2022年5月20日に出されたCHMPの肯定的見解に関するKaryopharmとMenariniのプレスリリースを参照。
▽欧州の多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、死亡率が高く、血液悪性腫瘍の中で2番目に多い治癒不能のがんである。世界保健機関(WHO)によると、欧州の2020年の多発性骨髄腫の新規患者数は約5万1000人、死者数は約3万2000人に上る(注 1)。多発性骨髄腫の治療法は過去20年間で改善され、全生存期間は大幅に延長したが、同疾患は依然、治癒不能で、ほぼ全ての患者が最終的に再発し、どの承認済み抗骨髄腫療法でも手に負えない難治性の疾患を発症する。そのため、新しい治療法、特に新規作用機序の治療法に対する満たされていない医療ニーズは依然として高い。
▽NEXPOVIO(R)(selinexor)について
米国でXPOVIO(R)として販売されているNEXPOVIO(R)は、欧州委員会により、以下の腫瘍適応で承認されてきた。(i)少なくとも4回の前治療歴があり、少なくとも2剤のプロテアソーム阻害剤、2剤の免疫調節剤、1剤の抗CD38モノクローナル抗体に対して難治性で、直近の治療で疾患の憎悪が認められた多発性骨髄腫の成人患者を対象とする、デキサメタゾンとの併用治療(ii)少なくとも1回の前治療歴のある多発性骨髄腫の成人を対象とするボルテゾミブ、デキサメタゾンとの併用治療。
NEXPOVIO(R)の適応拡大により、多発性骨髄腫の成人患者が、より早い治療段階で治療を受けられるようになった。NEXPOVIO(R)の適応は、EU加盟国およびアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、北アイルランドで有効である。NEXPOVIO(R)は、英国でも条件付き販売許可を得ている。少なくとも1回の前治療歴のある多発性骨髄腫の成人を対象とするボルテゾミブ、デキサメタゾンとの併用治療への適応拡大については現在、医薬品・医療製品規制庁で審査中。
NEXPOVIO(R)は、ファースト・イン・クラスの経口エクスポーティン1(XPO1)阻害剤である。NEXPOVIO(R)には、核外輸送タンパク質エクスポーティン1(XPO1、CRM1とも呼ばれる)に選択的に結合し、阻害する機能がある。NEXPOVIO(R)は、腫瘍抑制タンパク質、成長制御タンパク質、抗炎症タンパク質の核外輸送を阻害、これらタンパク質が核内に蓄積され、細胞内の抗がん活性が高まる。こうしたタンパク質が強制的に核内に保持されることで、そのままではDNAに重大な損傷を受けたがん細胞が無制限に増殖・分裂し続けるのを許してしまう発がん経路の増加を妨害できる。
NEXPOVIO(R)の製品特性概要および欧州公開医薬品審査報告書については、https://ec.europa.eu/health/documents/community-register/html/h1537.htm を参照。
米国の重要な安全情報
禁忌:
selinexorに対する過敏症。
特別な警告と使用上の注意:
推奨される併用療法
治療期間中は、十分な水分とカロリーの摂取を維持するよう患者を指導すること。脱水症のリスクのある患者には、静脈内水分補給を検討すること。
NEXPOVIO(R)による治療前および治療中は、5-HT3拮抗薬と他の制吐薬のいずれか、または両方による予防的併用治療を行うこと。
血液:
ベースライン時、治療中、および臨床的兆候により、患者の全血球計算(CBC)を評価すること。治療開始後2カ月間は、より頻繁にモニターすること。
血小板減少症:
血小板減少事象(血小板減少症および血小板数の減少)は、selinexor投与中の成人患者において頻繁に報告されており、重篤化する可能性がある(グレード3/4)。出血の徴候や症状がないか患者をモニターし、速やかに評価すること。
好中球減少症:
selinexorの投与では、重度の好中球減少症(グレード3/4)が報告されている。好中球減少症の患者は、感染の兆候がないかモニターし、速やかに評価すること。
胃腸毒性:
吐き気、嘔吐、下痢が重症化する場合があり、制吐薬や止瀉薬の使用が必要になる場合がある。
体重減少と食欲不振:
ベースライン時、治療中、および臨床的兆候により、患者の体重、栄養の状態や量をチェックすること。治療開始後2カ月間は、より頻繁にモニターすること。
錯乱状態やめまい:
めまいや錯乱状態が問題となるような状況を避け、めまいや錯乱状態を引き起こす可能性のある他の医薬品を医師の適切な助言なしに服用しないよう患者を指導すること。症状が治まるまで、運転や重機の操作をしないよう患者を指導すること。
低ナトリウム血症:
ベースライン時、治療中、および臨床的兆候により、患者のナトリウムレベルをチェックすること。治療開始後2カ月間は、より頻繁にモニターすること。
白内障:
Selinexorは、白内障の新規発症または増悪を引き起こす可能性がある。臨床的兆候により、眼科的評価を行うこともある。 白内障は、医学的ガイドラインに従い、必要に応じ手術を含めて治療すること。
腫瘍崩壊症候群(TLS):
selinexor治療を受けている患者では、TLSが報告されている。TLSのリスクが高い患者は、注意深くモニターすること。組織のガイドラインに従って速やかにTLS治療を行うこと。
生殖能力、妊娠、授乳
妊娠可能な女性/男女の避妊:
妊娠可能な女性および生殖能力のある成人男性患者には、selinexorによる治療中およびselinexorの最終投与後少なくとも1週間は、有効な避妊手段を用いるか性交を控えるよう助言すること。
妊娠:
妊娠中の女性へのselinexor使用に関するデータはない。Selinexorは、妊娠中および避妊をしていない妊娠可能な女性には推奨されない。
授乳:
selinexorおよびその代謝物が母乳に排出されるかどうかは不明である。母乳で育てられた子供へのリスクは排除できない。selinexorによる治療中および最終投与後1週間は、授乳を中止すること。
望ましくない影響
安全性プロファイルの概要
selinexorとデキサメタゾンの併用療法で最も頻度の高い副作用(30%以上)は、吐き気、血小板減少症、疲労、貧血、食欲低下、体重減少、下痢、嘔吐、低ナトリウム血症、好中球減少症、白血球減少症だった。
最も多く報告された重篤な副作用(3%以上)は、肺炎、敗血症、血小板減少症、急性腎障害および貧血だった。
主な副作用の説明
感染症:
非血液学的毒性で最も多かったのは感染症だった。上気道感染症と肺炎が最も多く報告された感染症で、報告された感染症の25%が重篤、治療を受けた成人患者の3%に致命的な感染症が起きた。
高齢者
75歳以上の患者は、副作用による投与中止の発生率、重篤な副作用の発生率、致命的な副作用の発生率が高かった。
疑わしい副作用の報告
医薬品の承認後、疑わしい副作用を報告することは重要である。医薬品のメリットとリスクのバランスを継続的に監視することが可能になるからである。医療従事者は、副作用が疑われる場合、添付文書Vに記載されている国の報告システムを通じて報告してほしい。
▽Karyopharm Therapeutics(カリオファーム・セラピューティクス)について
Karyopharm Therapeutics Inc.(NASDAQ:KPTI)は、新たながん治療を開拓している商業期製薬会社である。Karyopharmは創業以来、腫瘍形成の根本メカニズムである核外輸送調節異常に対処するために開発された経口選択的核外輸送阻害剤(SINE)化合物技術で業界をリードしてきた。Karyopharmの主力SINE化合物で、ファースト・イン・クラスのエクスポーティン1(XPO1)阻害剤「XPOVIO(R)(selinexor)」は、米国で認可を受け、同社が3つの腫瘍適応で販売しているほか、欧州、英国(NEXPOVIO(R)として)、中国、シンガポール、カナダ、イスラエル、韓国、オーストラリアをはじめ、さまざまな適応で規制当局が認可している地域や国が増えている。Karyopharmは、多発性骨髄腫、子宮内膜がん、骨髄異形成症候群、骨髄線維症など、満たされていない高いニーズのある複数のがん症状を標的とする重点的開発パイプラインを有している。当社の人材、科学、開発パイプラインの詳細については、www.karyopharm.com を参照するとともに、Twitterの@Karyopharm および LinkedInで当社のフォローを。
▽Menarini Group(メナリニ・グループ)について
Menarini Groupは、売上高40億ドル超、従業員数は1万7000人を超える国際的な大手医薬品・診断薬企業である。Menariniは、満たされていないニーズの高い治療分野に重点を置き、腫瘍、心臓疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、感染症、糖尿病、炎症、鎮痛用の製品を提供している。18の生産拠点と9の研究開発センターを有するMenariniの製品は、世界140カ国で販売されている。詳細については、www.menarini.com を参照。
(注 1)世界保健機関。 2020年。
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/35-Multiple-myeloma-fact-sheet.pdf
Logo - https://mma.prnasia.com/media2/652491/MENARINI_Group_Logo.jpg?p=medium600
ソース:Menarini Industrie Farmaceutiche Riunite