人民網日本語版
宮崎駿監督がアニメ化した、作家・角野栄子による児童文学「魔女の宅急便」は世界でも広く知られている。同書は1993年に初めて日本でミュージカルにリメイクされ、2016年には英語版が英ロンドン・ウェストエンドで上演された。
今年、ミュージカル「魔女の宅急便」の中国語版がいよいよやって来る。5月29日夜、聚橙網絡技術有限公司(聚橙)が制作したミュージカル「魔女の宅急便」の公演が、上海人民大舞台で初日を迎え、連続8公演が行われる。
〇会場の観客数を分散させるため6公演から8公演に増加
ミュージカル「魔女の宅急便」は、新型コロナウイルス感染拡大前に完成してチケット販売が始まったが、公演再開許可に関する通知を受けて制作チームが最初に行ったことは、「劇場などイベント会場では、観客数の上限が、座席数の30%を上回らないこと」との規定にもとづいた上演環境をめぐる調整だった。
このため、「魔女の宅急便」上海公演では、最初に計画されていた6公演からさらに2公演増やして8公演とし、各公演の座席について改めて調整を実施し、すでにチケット購入済の観客については、観覧予定の公演で改めて座席を選んでもらう、あらいはチケットの払い戻しにも対応可能として、観客に選択肢を提供した。
プロデューサーの頼毅氏は、「我々は、チケット購入済のお客様全員に、今回の公演を見て頂きたい。今のところ、払い戻しを希望する人は極めて少なく、皆さんが今の困難な状況を何とかやりくりして、予定通り会場に足を運んでもらえるようだ」と話した。
〇メイン制作チームは中日両国がしっかりタイアップ
中国のローカライズリメイクにおいて、メイン制作チームは、原作のエッセンスを尊重した上で、原作の脚本に対する微調整を行い、ストーリーや主人公である魔女のキキの成長過程を中国人観客により良く理解してもらえるよう力を尽くした。
舞台美術からマルチメディア、照明にいたるまで、中国語版ミュージカルでは少なからず変更が行われた。舞台美術デザインでは、「実景+マルチメディア」方式を採用。マルチメディア画面では、ベルギーのシュールレアリスム画家ルネ・マグリット氏による作品のイメージが取り入れられた。また、海辺の街コリコは、実景・マルチメディア画面ともに、スウェーデンの都市ストックホルムやヴィスビューの建築物のイメージを参考とした。このほか出演キャストは、舞台で本当に「飛ぶ」パフォーマンスを行う。
メイン制作チームは、中日合同チームとなった。日本からは、脚本も手掛けた岸本功喜監督と作曲家の小島良太氏が参加し、中国側監督の石路氏や李響氏はいずれも、日本の劇団四季に在籍した経歴がある。1年半にわたる全体計画期間のうち前半は、Webビデオ会議システムによってメイン制作チーム会議が行われた。
メイン制作スタッフだけではなく、出演キャストも世界各地から募集され、米国やフランスのほか、台湾地区や香港地区などからも集まった。さらには、武漢の都市封鎖が解除された後、武漢から上海に来たキャストもいた。そのため、キャストたちは、上海に到着後、14日間の隔離措置を受けなければならなかった。
プロデューサーの頼毅氏は、「ミュージカルの制作にあたり、私の気持ちは、毎日、ジェットコースターに乗っているみたいだった。劇中で挫折や苦境に見舞われる魔女のキキと同じように、我々も新型コロナウイルス感染拡大の中でさまざまな難問に直面した。だが、数え切れない困難を克服して、ついに舞台初日を迎えることができた」と感慨深げに話した。