海外移住・中国人にとって、中国国内の資産をどのように海外に移転するかは大きな問題です。中国の外国為替・輸出規制では海外送金は1人あたり年間5万ドルまでに制限されています。
多くの移民は、海外での住宅や車の購入、商売の仕入れ、子供の教育などのために、それなりの支出を必要としています。ただ、このような、まともな(犯罪などとは全く関係ない)取引に必要な資金であっても、限度を超える海外送金は禁止。それを超えれば不正取引となってしまいます。
そのために、多くの移民は“地下銀行”などを利用する違法な手段に頼っていました。ただ近年、中国の為替当局は国内外の金融機関に徹底した情報開示を求めグローバル規制網はいたるところに張り巡らされています。不正送金のリスクは大変高く、多くの中国人が処罰されています。
ただし2018年初めからちょっと事情が変わって来ました。中国の外貨政策は少々微調整され、海外・移住者にも合法的な資産移転の機会が提供されはじめました。
中国人民銀行が公表した最新の外国為替管理局「個人財産対外移転為替管理暫定法」によると、中国から合法的に海外に移住した移民は、新しい制度が完全に適用され、5万ドルを超える資金も合法的に海外に振り込むことができます。移民者として移民する前に中国国内で所有している財産を合法的に外貨指定銀行で外国通貨を購入(両替)することで換金し、外国為替で国外に送金する、という手段です。
資産を海外移転できると資格と条件
資格
海外で永住権もしくは国籍を取得した中国公民または外国人(中国内地から外国に移住、もしくは香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾地区に定住した住民を含む)。
条件
1中国国内で所持している不動産を売却し、資金の海外移転を申請し、売却で得た資金を外貨に両替し、移住先の銀行口座に送金することができる。(有価証券の場合も、同様)
2ただし、海外に移転する財産は、合法的な財産でなければならず、かつ他人との係争がある場合は対象外とされます。
3また、申請手続きを終えた者は中国国内では外貨現金を引き出すことはできず、外国為替を直接移住先国の申請者本人も銀行口座に振り込まなければなりません。
4さらに、すでに合法的に他国に移民済みの中国人にも、外国への財産移転の申請の機会は与えられます。ただし一度きりです。