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「中日友好に乾杯!」 「ビジネスの成功を祈って乾杯!」 「皆さんの健康を祈って乾杯!」。
さあ、宴の開始。白酒の飲み過ぎにご用心
中国西域、シルクロードに位置する蘭州のホテル大広間で日本企業と現地企業の宴席が始まった。丸テーブルを囲んだ日本人ビジネスマン10人ほどと迎える中国人もやはり10人ほど。中国側の小さなグラスに注がれた白酒を高く掲げ、一気に飲み干す。
白酒はコーリャンから造られるアルコール度数50度前後強い酒だ。無色透明でツンとした香りがする。脂っこい中国料理とよく合う。宴が進むに連れ、中国企業の幹部が次々とテーブルを回り、白酒で杯を重ねる。
ある参加者が打ち明けた。「アルコールには自信があったし、酒を飲んでこそ、人間関係が深まりビジネスがうまく行くと思ったが、さすがに参った。宴会場の柱が曲がって見えた」。
この話を聞いた中国駐在経験の同僚が教えてくれたという。「最近は乾杯を強いることが少なくなったが、まともに付き合ったら身がもたない。グラスを空け、気づかれないようにおしぼりに吐き出してしまえばよい」。
こんなエピソードもあるという。
ある中国政府要人が数百人規模の宴席で、列席者ひとりひとりと乾杯を続けた。しかし、この要人はいっこうに酔った気配を見せない。
よほどの酒豪かと思いきや、実は相手には本物の白酒を注ぎ、自分はお付きの部下が差し出すボトルからの酒を飲む。これが酒ではなく水だったという。こんなところにも、乾杯文化が根付く中国人のお酒との賢い付き合い方が現れている。
脂ギトギトの食材に白酒はよく合う