ICMM、鉱業・金属分野のより堅牢なデータ構築を支援するグローバル鉱業データセットを発表

  • ICMMの新たなデータセットは、世界で最も包括的かつ公開されている鉱業・金属施設の集成であり、47種類の一次鉱物を対象とする15,188の鉱山および加工施設を網羅している。
  •  初回データセットから得られた主な知見
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    鉱業・金属産業はグローバルな広がりを持つものの、その分布は不均一であり、中国、オーストラリア、米国が全施設の約45%を占めている。
    - 石炭、金、銅、鉄鉱石が鉱山数において最も多くを占める主要鉱物であり、石炭鉱山は全鉱山の43%を占めている。
    - 金属鉱業と抽出冶金(製錬所、精錬所、製鉄所)は異なる地域で展開されることが多い。中国はデータセット内で最も多くの冶金施設(426施設)を有する国として記録されている。

ロンドン, 2025年9月3日 /PRNewswire/ -- 本日、ICMMは鉱業・金属分野における信頼性が高く標準化されたデータの不足に対応するため、グローバル鉱業データセットを発表しました。ICMMは、鉱業・金属分野に関する情報の質とアクセス性を大幅に向上させ変革することを目的とした複数年にわたる取り組みを開始しています。この取り組みは、政策立案に資する堅牢かつ透明性の高いデータを構築し、持続可能な開発における鉱業・金属の進化する役割に関する幅広い議論を促進することを目指しています。

The global distribution of mining and metals facilities and other key insights from ICMM’s Global Mining Dataset
The global distribution of mining and metals facilities and other key insights from ICMM’s Global Mining Dataset

エネルギー移行および持続可能な開発を支えるために鉱物や金属の需要が高まる中、長年にわたり存在してきた質の高いデータの不足を克服することが急務となっています。この不足は、政策立案者、投資家、市民社会、さらには業界自身が十分に情報に基づいた見解を形成し、効果的な規制を策定し、同分野の影響と貢献を真に理解することを妨げてきました。

この取り組みの第一歩として策定された報告書が『グローバル鉱業データセット:鉱業・金属施設の世界的分布の理解(Global Mining Dataset:Understanding the global distribution of mining and metals facilities)』です。同報告書では、世界に存在する鉱山、製錬所、精錬所および加工施設の数、それらの所在地、さらに生産されている鉱物の種類を明らかにしています。このデータセットは、Accenture、Global Energy Monitor、Skarn Associatesの支援を受けて開発され、その他の公開情報1および専有情報2にもアクセスして作成されました。

ICMM会長兼CEOであるRohitesh Dhawanは、次のように述べています。ICMMの基盤となるデータセットは、世界経済の75%以上が大規模鉱業または鉱物加工と何らかの形で関わりを持っていることを示しています。こうした施設の所在地、種類、対象鉱物、フットプリントをグローバルに把握することは、この重要な分野に関する適切な公共的・政策的議論を行う上で不可欠です。エネルギー移行と地政学的変動の中心に鉱物と金属が位置する今、堅牢でグローバルかつ業界全体を網羅するデータの重要性はかつてないほど高まっています。

ICMMの新しいデータセットが、現在世界で最も包括的に公開されている鉱業・金属施設の集成であると申し上げられることを誇りに思います。私たちは、今後パートナーシップを通じてこのデータがさらに拡充・改善されることを期待するとともに、今後数か月以内にこれを基盤とした主要な持続可能性指標を公開すべく取り組んでいます。」

国際資源パネル共同議長、Janez Potočnikは、次のようにコメントしています。「鉱業・金属産業に関する信頼性が高く、透明性があり、統合されたデータは、エビデンスに基づく政策立案、効果的なガバナンス、そして持続可能性目標に向けた世界的な進展に不可欠な前提条件です。堅牢なデータがあってこそ、この分野の環境的・社会的・経済的影響を十分に理解し、進捗を監視し、グローバルなサプライチェーン全体にわたる説明責任を確保することができます。ICMMの取り組みは、このビジョンに向けた重要な貢献です。」 

ICMMデータ・リサーチ部門ディレクター、Emma Gagen博士は、次のように述べています。「鉱業・金属分野に関する既存のグローバルデータは、不完全であったり、一貫性を欠いていたり、特定の鉱物や地域に限定されていたり、有料でアクセスが制限されていたりします。そのため、この分野を取り巻く情報環境を変革することが極めて重要です。世界に存在する鉱山、精錬所、製錬所の数といった基本的な統計ですら、これまで把握することは困難でした。

「断片的な報告を超えて、鉱業・金属がもたらす多面的な貢献と影響を捉える信頼できる情報源を確立することは、私たちだけで遂行できるものでも、またそうしたいと望むものでもありません。私たちは、現行データの精度、信頼性、網羅性を高め、将来のデータセットを構築していくために、学術機関、コンサルティング会社、政府、あるいは商品別・各国の業界団体など、地域およびグローバルのパートナーに参加いただくことを呼びかけています。」

このデータセットは、その方法論に基づき、世界に存在する大規模鉱業および鉱物加工施設の総数を過小評価している可能性があります。 

編集者への注記

グローバル鉱業データセットの初回報告書『鉱業・金属施設の世界的分布の理解』は以下のリンクからご覧いただけます:https://www.icmm.com/en-gb/research/data/2025/global-mining-dataset .以下の内容を含みます。

  • このプレスリリースで紹介された知見およびデータセットの方法論に関する詳細
  • データセット利用者向けの外部データベース(Excel形式)およびダウンロード可能な空間ファイル(Google Earth互換)
  • メディアパックはこちらからご覧いただけます。

脚注

  1. 公開情報には以下が含まれます:Jasansky, S., Lieber, M., Giljum, S. 『An open database on global coal and metal mine production.』Sci Data 10, 52 (2023). https://doi.org/10.1038/s41597-023-01965-y  & Hudson-Edwards, Karen; Owen, John; Kemp, Deanna 他 (2023). Water and Planetary Health Analytics (WAPHA) global metal mines database [Dataset]. Dryad. https://doi.org/10.5061/dryad.j3tx95xmg
  2. 専有情報には以下が含まれます: S&P Global, S&P Capital IQ Download.

ICMMについて ICMMは「原則に基づく鉱業」を掲げています。同組織は、世界の鉱業産業の約3分の1と主要なパートナーを結集し、持続可能な開発に向けたリーダーシップ、行動、そしてイノベーションを推進しています。協働を通じて、ICMM加盟企業は責任ある鉱物・金属生産の基準を策定し、安全で公正かつ持続可能な世界の構築に貢献しています。

画像 - https://mma.prnasia.com/media2/2762778/ICMM.jpg?p=medium600