中国産新型コロナウイルスワクチン 世界各地のウイルスに有効か

人民網日本語版

新型コロナウイルス感染症は今なお多くの国で蔓延しており、世界中のワクチン開発者が1分1秒を争いウイルスと競争するようにしてワクチン開発を進めている。開催中の2020年中国国際サービス貿易交易会では、中国が独自開発した新型コロナウイルス不活化ワクチン3種類の実物が初めて公開され、発売・使用の実現にまた一歩近づいた。中国産ワクチンは将来、世界市場で広く応用されるだろうか。中国新聞社が伝えた。

現在、中国の新型コロナウイルスワクチン開発は「スピードアップ」の段階に入っている。世界保健機関(WHO)がまとめた最新のデータでは、世界ではすでに30種類以上のワクチンが臨床試験の段階に進んでおり、そのうち9種類は最終の第3段階に入った。このうち、中国が開発中のワクチンは4種類が国外での第3段階臨床試験を許可されている。

サービス貿易交易会の公衆衛生防疫専用エリアでは、国薬集団傘下の中国生物技術股フン有限公司(フンはにんべんに分)が開発したワクチン2種類と、科興持ち株生物技術有限公司が開発したワクチン1種類が初めて公開された。いずれも新型コロナウイルスの不活化ワクチンだ。ワクチンのほかにも、新型コロナウイルス感染症から回復した人の血液を使ったヒト免疫グロブリン製剤、PCR検査キットなどの感染症対策製品も展示された。

中国生物の張雲濤副総裁は、「2種類のワクチンは当社傘下の武漢と北京にある2つのバイオ製品研究所がそれぞれ開発したもので、現在、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、ペルー、モロッコ、アルゼンチンで第3期臨床試験を進めており、115ヶ国・5万人が接種している。海外での臨床試験が順調に進めば、ワクチンは今年の年末までには市販されるだろう」と述べた。

科興持ち株のワクチン「克爾来福」は現在、ブラジル、インドネシア、トルコ、バングラデシュなどで第3期臨床試験が行われている。同社の尹衛東会長は、「現在、ブラジルのワクチン研究のペースと進展が速く、計画では9千人に接種するという。海外でワクチンの有効性が証明されれば、後は市販を開始するだけだ。今年の年末までに臨床結果が出るのを期待する」と述べた。

これらのワクチンは世界各地のウイルスに有効だろうか。尹氏は、「科興は米国、欧州、中東などで遺伝子配列の異なるウイルス20株あまりの検体を採取し、ワクチンの免疫血清がウイルスを中和することができたので、このワクチンは世界で効果を発揮することが予測される。この不活化ワクチンは37度の環境に1ヶ月間置いておくことが可能で、有効期間は現時点では3年間となっている」と述べた。

人々は発売の時期だけでなく、ワクチンの供給量が追いつくのかどうかに最も関心を寄せている。取材したところでは、上述した2社だけで初年度の生産量は6億回分に達する見込みという。

中国生物は北京と武漢の研究所内にハイレベルバイオセーフティ生産設備を設置しており、第1期の両施設での年間生産量は3億回分に達し、第2期以降は10億回分に達する見込みだ。科興生物は今年3月末に新型コロナウイルス不活化ワクチン産業化建設プロジェクトをスタートし、中関村科技園の大興生物医薬産業拠点に製造現場を建設し、年間3億回分の生産が可能という。

中国では上述した3種類以外のワクチンの開発も急ピッチで進められている。開発が順調に進めば、ワクチン生産量は規模が引き続き拡大していくとみられる。

中国政府は、新型コロナウイルスワクチンが開発に成功し、実際に接種が始まった後は、世界の公共財として、発展途上国でも入手可能な価格になるよう寄与していくと約束した。