5Gの真価はどこにある?

人民網日本語版

中国の5G(第5世代移動通信システム)建設が最近、またも歴史的進展を見せた。世界最高峰のチョモランマ(エベレスト)にあるベースキャンプに、三大通信事業者の中国移動(チャイナ・モバイル)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)、中国電信(チャイナ・テレコム)がいずれも5G基地局を設置し、5Gの電波が標高5000メートルの地域をカバーしたのだ。中国移動は、中国通信機器大手・華為(ファーウェイ)と協力し、標高5800メートルと6500メートル地点に5G基地局を設置し、5Gの電波がチョモランマの頂上をカバーした。中国電信が打ち出している「クラウド登頂」を通して、ネットユーザー1千万人以上が頂上の風景を鑑賞している。このプロジェクトにより、多くのネットユーザーが美しい風景を堪能しているほか、今後はチョモランマ観光産業をサポートする新たな力となると期待されている。5Gは産業面における存在感を高めており、中国が新インフラの建設を加速させるにつれ、業界関係者は、「5G To B(政府・企業向け)」の時代が間もなく到来するとしている。経済日報が伝えた。

GSMアソシエーションの関係責任者・劉鴻氏は、「3Gや4Gと比べると、5Gの真価は、非常に数多くの業界に力を与えることにある。そして、各業界のデジタル化へのモデル転換を促進し、本当の意味で社会を変えることができる」との見方を示す。

特に、新型コロナ流行期間中、5G技術の医療や事務、観光などの分野への応用ニーズが急速に高まり、各業界のデジタル化へのモデル転換を加速させている。観光業界を例にすると、チョモランマの「クラウド登頂」プロジェクトが、ネットユーザー1000万人を呼び込んだほか、清明節(先祖を祭る中国の伝統的な祭日、今年は4月4日)に合わせた3連休中、北京の人気観光地・故宮はライブ配信を3度開催し、その視聴数は延べ2億4000万回に達した。また、メーデー5連休中、山西省の五台山、平遥古城、皇城相府などの観光地もライブ配信や5G技術を活用し、「クラウド観光」ができるよう取り組んだ。また、北京平谷区も華為と提携し、その5Gやクラウドコンピューティングなどの技術を活用して、業界のイメージ化ソリューションを打ち出し、恒例行事の「桃の花祭り」をオンラインで開催し、全く新しい花見体験「クラウド桃源郷」を実現した。

「クラウド観光」を代表とするスマート観光が現在、観光業界のモデル転換・高度化の突破口となりつつある。中国社会科学院観光研究センターの金准秘書長は、「5Gやバーチャル・リアリティ(VR)などは、観光業において、早くから応用されている。今後の旅行業界は、より先端の技術を組みわせて、観光サービスや体験のグレードアップを促進することを必要としている」との見方を示した。