新型コロナウィルス肺炎診療方案

(試行第6版)

2019年12月以降、湖北省武漢市に新型コロナウィルス肺炎患者が続々と確認され、感染蔓延に従って中国他の地域と海外にも症例が相次いでいる。急性呼吸器伝染病である新型コロナウィルス肺炎は、「中華人民共和国伝染病防治法」では二類伝染病として分類されているが、一類伝染病として管理される。新型コロナウィルス肺炎に対する認識の深まりと治療経験の積み重ねを踏まえ、「新型コロナウィルス診療方案(試行第5版 修正版)」を修正し「新型コロナウィルス診療方案(試行第6版)」を発行した。

一、病原学的特徴

新型コロナウィルスは包膜に覆われており、多形性の性質を持つ直径60-140nmの円形や楕円形のβ属コロナウィルスである。新型コロナウィルスの遺伝子は、SARSs-CoVやMERSs-Covと比べ明らかな違いがある。現時点の研究では、新型コロナウィルスと蝙蝠SARS仕様コロナウィルス(bat-SL-CoVZC45)の類縁度(ホモロジー)が85%以上であることが確認された。2019-nCovは、体外分離培養後約96時間で人体呼吸器上皮細胞内から検出できるが、一方Vero E6 とHuh-7細胞系の分離培養には約6日かかる。

新型コロナウィルスに対する理化学特徴の認識は大半がSARSs-CoVとMERSs-Covの研究を踏まえたものである。新型コロナウィルスは紫外線と熱に敏感で、56°で30分間の加熱やエーテル、塩素消毒剤、過酸素酢酸、クロロフォルムを含む脂溶性薬剤によって有効に不活化できる一方、クロルヘキシジンによっては有効に不活化できない。

二、疫学的特徴

(一)感染源。

現時点では、新型コロナウィルスに感染した患者が主な感染源である。無症状病原体保持者からの感染も可能とされる。

(二)感染経路。

飛沫感染と濃厚接触が主な感染経路として挙げられる。密閉された空間で、高濃度の汚染されたエアロゾルに長時間さらされた場合には、エアロゾルによるウイルスの伝播は起こりうる。

(三)高感受性宿主。

人全員が高感受性宿主である。

三、臨床的特徴

(一)臨床所見。

現時点の疫学調査によると、潜伏期間は1-14日であり、多くは3-7日である。

発熱や空咳、倦怠感が主な臨床症状として挙げられる。一部の患者には、鼻詰まりや鼻水、咽頭痛、筋肉痛、下痢等の症状が見られる。重症患者の多くは、発症から1週間後に呼吸困難或いは低酸素血症が現れ、一部の重篤な患者では急速に急性呼吸器症候群や、膿毒症ショック、重篤な代謝性アシドーシス、血液凝固障害、多臓器不全等が起こりうる。重症患者と重篤患者では、微熱や明らかな発熱がないまでの病歴があることに注目すべきである。

軽症患者の症状としては、微熱や軽い倦怠感等があるものの、肺炎病状はみられない。

現時点で把握した症例情報では、多くの患者は予後が良好と認めるものの、一部の患者では重症になりうる。高齢者・基礎疾のある患者においては予後が比較的悪い。児童症例の症状は比較的に軽い。

(二)臨床検査。

発症初期の段階では、患者の末梢血白血球数が正常値或いは減少、リンパ球数は減少した。このうち、一部の患者では、肝酵素、乳酸脱水素酵素(LDH)、筋肉酵素とミオグロビンが増加した。更に、一部の重症患者では、トロポニンの増加がみられた。多数の患者では、C-反応性タンパク(CRP)と赤血球沈降速度が上昇しプロカルシトニンが正常である。重症患者では、Dダイマーが上昇し、末梢血リンパ球数が減少する。重症と重篤患者において、炎症性サイトカインの上昇がよく見られる。

鼻咽頭や喀痰、下気道分泌物、血液、糞便等の検体から、新型コロナウィルスの核酸が検出できる。

核酸検査(PCR)の陽性率を高めるため、できるだけ喀痰を取り、また、気管挿管を行なっている患者では下気道分泌物を収集し、早いうちに送検することが勧められる。

(三)胸部画像。

発症初期の段階においては、外側を主とする肺部に多発的且つ小さな斑状陰影と間質性変化がみられ、疾患の進行につれて、左右の肺に多発のすりガラス陰影と浸潤が出現するほか、重症の場合、肺実質病変や、稀ながら胸水が溜まることもある。

四.診断基準

(一)疑似症例

下記のような疫病感染者との接触履歴と臨床表現を総合的に考え、分析する。

  1. 疫病感染者との接触履歴

(1)症状が出るまでの14日以内に、武漢及び武漢周辺、その他感染者の報告がある地域への旅行歴と居住歴がある場合。

(2)症状が出るまでの14日以内に、新型コロナウイルス感染者(核酸検査で陽性反応が出た患者)と接触したことがある場合。

(3)症状が出るまでの14日以内に、武漢及びその周辺、あるいは感染者報告のある地方から来た発熱や呼吸器症状のある人と接触したことがある場合。

(4)集中的感染

2.臨床所見

(1)発熱と呼吸器症状

(2)上記の新型コロナウイルス肺炎の映像学的特徴を有する

(3)発病初期の白細胞計数が正常または減少し、リンパ球計数が減少する。

疫病感染者との接触履歴のいずれかに当てはまる、または臨床表現で任意の2点に当てはまった場合。そして、明確な疫病感染者との接触履歴がなくても、臨床表現の3点に当てはまった場合擬似症例とする。

(二)確診症例

疑似症例の中で、下記の病原学的証拠のうち一つに当てはまった場合確診症例とする。

1、新型コロナウイルスのRT-PCR検査で、核酸が陽性反応である場合。

2、ウイルスのゲノム配列が既知の新型コロナウイルスとホモロジーがはっきりしている場合。

五.臨床分類

(一)軽症型

症状が軽く、画像では肺炎症状が出ていない。

(二)普通型

発熱や呼吸器症状があり、画像で肺炎症状が出ている。

(三)重症型

下記のいずれかに当たる場合

1.呼吸が荒く、RR≥30回/分

2.安静状態での酸素飽和度≤93%

3.動脈血中酸素分圧(PaO2)/酸素濃度(FiO2)≤300mmHg(1mmHg=0.133kPa)

標高が高い(標高1000メートル以上)地方では公式PaO2/FiO2をPaO2/FiO2x[気圧(mmHg )/760]に調整する肺の画像で、24―28時間の間に病巣の進展が明らかに50%を超えた患者は重症型患者として扱う。

(四)重篤型

下記のいずれに当たる感染者

1.呼吸が衰弱し、人工呼吸器を必要とする人

2.ショックを起こした人

3.その他の臓器不全を併発しており、ICUでの治療を必要とする人

六.鑑別診断

(一)新型コロナウイルスの軽症感染は他のウイルスによる上気道感染と鑑別をしなければならない。

(二)新型コロナウイルス肺炎は主にインフルエンザウイルス、アデノウイルス、呼吸系発疹ウイルスなど、既知のウイルス肺炎やマイコプラズマ肺炎と鑑別をしなければならない。特に疑似症例である患者に対し、早々に抗原検査や多重のPCR核酸測定などをして、一般的な呼吸器病原体との鑑別検査をしなければならない。

(三)血管炎、皮膚筋炎、器質化肺炎などの非感染性疾患とも鑑別をしなければならない。

七.症例の発見と報告

各医療機関で、感染の疑いがある患者を発見した場合、直ちに個室に隔離し、治療を行う。そして、専門家と主治医で検討した結果、感染の疑いが排除できない場合、2時間以内に、ネットで報告し、そして検体を採取し、新型コロナウイルス核酸検査をする。それと同時に、安全を確保した上で、指定医療機関に移送する。新型コロナウイルス感染者と濃厚接触があった患者は一般的な呼吸器病原体検査で陽性反応がでても、新型コロナウイルス病原体の検査を行うべきである。

八,治療

(一)病状によって治療場所を決める

1、疑似および確診症例は有効な隔離条件、防護条件を満たす指定医療機関で隔離治療すべきである。疑似症例は個室で隔離治療を行うべきだが,確診症例は大部屋に収容して良い。

2、重篤型の症例はできるだけ早くICU室で治療をさせるすべきである。

(二)一般治療

1,ベットで休み,支持治療を強化し,十分なカロリーを摂取する;水分量、電解質量のバンランスに注意し,体内環境の維持を心がける。バイタルサイン、酸素飽和度などを頻繁に測定する。

2,病状によって血液検査、尿検査、CRP、生化学指標(肝酵素、心筋酵素、腎機能など)、凝血機能、動脈血ガス分析、胸部画像検査など。条件が揃っている場合はサイトカインの検査も行うと良い。

3,適時有効な酸素療法を行う。(経鼻カテーテルによる高流量酸素療法、酸素マスクによる酸素投与を含む)

4,抗ウイルス療法:αインターフェロン(成人1回500万U、あるいは相当量に滅菌注射用水2mlを加え、1日2回霧化吸入する)、ロピナビル/リトナビル(成人200mg/50mg/錠,1回2錠,1日2回,治療期間は10日を超えないこと)リバビリン(インターフェロンあるいはロピナビル/リトナビルとの併用を推奨,成人500mg/回,1日2ー3回静脈点滴,治療期間は10日を超えないこと。リン酸クロロキン(成人500mg,1日2回,治療期間は10日を超えないこと),アルビドール(成人200mg,1日3回,治療期間は10日を超えないこと)。

ロピナビル/リトナビルの服用による下痢,吐き気,嘔吐,肝機能障害などの副作用があるので注意しなければならない。同時に他の薬物との相互作用にも注意が必要である。臨床応用で上記の治療薬に対し更なる治療効果の検証を行う。同時に3種類以上の抗ウイルス薬物を用いることは推奨しない。耐え難い副作用が出現したとき,直ちに関連薬物の使用を中止すべきである。

5,抗菌薬治療:盲目的または不適切な抗菌剤の使用、特に広い抗菌スペクトルを有する抗菌薬の併用を避けるべきである。

(三)重症型,重篤型症例の治療

1,治療原則:対症療法を行なった上で,積極的な合併症の予防、基礎疾患の治療、続発感染の予防、速やかな器官機能の支援を行うこと。

2,呼吸支援

(1)酸素療法:重症患者は経鼻カテーテルと(或いは)マスクによる酸素吸入を受けるべきである。また、意図的窮迫と低酸素血症が緩和したかどうか適時に評価する。

(2)高流量経鼻カテーテル酸素療法或いは非侵襲性換気法: 患者が標準酸素治療を受けた後,呼吸困難と(或いは)低酸素血症が緩和しなかった場合,高流量鼻カテーテル酸素療法或いは非侵襲換気法の適用を考える。もし短期間(1ー2時間)で病状の改善がない,または更に悪化した場合、直ちに気管挿管と侵襲性のある人工呼吸を行うべきてある。

(3)侵襲性のある人工呼吸法: 人工呼吸器に関連する肺損傷を減少させるため、肺保護性通気策略を採用し,すなわち、小換気量(理想体重4-8ml)と低吸気圧(プラットフォーム圧<30mlH2O)で人工呼吸器を行う。多くの患者は機械の同期が取れないため、鎮静剤と筋弛緩剤を適時に使用すべきである。

(4) 救命治療:重篤なARDS患者には肺再拡張治療を勧める。人材が十分確保できる場合は、腹臥位通気を毎日12時間以上行う。腹臥位通気効果が良くない者は、条件が許すならば、できるだけ早く体外式膜型人口肺(ECMO)の適用を考えるべきである。

3,循環支援: 十分な輸液を行なった上で、微小循環を改善すること、血管作動薬を使うこと、必要に応じて血液流動学的モニタリングを行うこと。

4,回復者の血漿治療法:病状の進行が比較的に早い、重症型と重篤型の患者に適用する。用量用法《新冠肺炎康復者回復期血漿の臨床治療方案(試行第一版)》を参考にすること。

5,その他の治療法:

酸素化指標が継続的に悪化し、画像で病巣の迅速な進展がみられ、生体の炎症反応が過剰に活性化された状態の患者には、適宜短期間(3ー5日)グルココルチコイドを使用して、メチルプレドニゾロン1ー2mg/kg/日に相当する量を超えないことを勧めること。大量のグルココルチコイドは免疫抑制作用によりコロナウイルスの駆除を遅延させることに注意すべきである。静脈投与によるueBiJing(XBJ)100Ml/回1日2回の治療が可能である;腸微小生態調節剤を使用して、腸内環境を整え、続発的細菌感染を予防できる;高炎症反応がある重篤な患者には、条件が揃っている場合は血漿置換、吸着、灌流、血液/血漿濾過などの体外血液浄化技術の使用を考える。

患者は焦りや恐怖心を抱いている場合が多く、カウンセリングを強化すべきである。

(四)中医学による治療について

この病気は中医学の「疫」の病の範囲に属し、病因は「疫戻」の気に侵されることにより発症。各地域の患者の病状、気候の特徴、体質の違いにより以下のガイドラインを参考に辨証論治を行う。処方箋を超える用量については、医師の指導のもと治療を行うこととする。

  1. 医学観察期における治療について

臨床表現1:胃腸の不調を伴う倦怠感

推薦される漢方製剤:藿香正気膠嚢 (丸剤、水、内服液)「日本では勝湿顆粒」

臨床表現2:発熱を伴う倦怠感

推薦される漢方製剤:金花清感顆粒、連花清瘟膠嚢(顆粒)、疏風解毒膠嚢(顆粒)

  1. 臨床治療期(感染確認病例)における治療について

2.1   清肺排毒湯

適用される患者の範囲:軽度、中度、重症患者。危篤患者の救急については実際の状況に応じて合理的に使用すること。

基礎方剤:麻黄9g、炙甘草6g、杏仁9g、生石膏15~30g(先煎)、桂枝9g、澤瀉9g、猪苓9g、白術9g、茯苓15g、柴胡16g、黄芩6g、姜半夏9g、生姜9g、紫菀9g、冬花9g、射干9g、細辛6g、山薬12g、枳実6g、陳皮6g、藿香9g。

服用法:生薬を水で煎じ、毎日1剤、一日2回朝晩(食後40分)に分けて温服する。3日を1クールとする。

条件が整っている場合は、服用後に茶碗半杯分のおかゆ、舌干、津液が不足している患者には一杯を飲ませる。(注:発熱のない患者については生石膏の用量を少なくし、発熱や高熱の場合は容量を増やす。)症状が改善ししているものの、まだ完治をしていない患者については2クール目を行う。ただし、特殊な事情や持病を持っている場合は、実際の状況に応じ2クール目の処方箋を調整し、症状がなくなった時点で投与をやめることとする。

処方箋の出所:国家衛生健康委办公庁 国家中医薬管理局办公室≪中西医結合で新型コロナウィルス肺炎の治療における「清肺排毒湯」の推薦についての通知≫(国中医薬办医政函(2020)22号)

2.2   病状が軽い場合

(1)寒湿鬱肺

臨床症状:発熱、倦怠感、筋肉痛、咳、痰、胸の不快感、消化不良、食欲不振、吐き気、嘔吐、排便の不快感。舌診で舌は腫れぼったく歯痕あり、色はピンク色。舌苔は白厚腐膩か白膩。脈は濡か滑。

推薦される処方箋:生麻黄6g、生石膏15g、杏仁9g、羌活15g、葶藶子15g、貫衆9g、地龍15g、徐長卿15g、藿香15g、佩藍9g、蒼朮15g、雲苓45g、生白術30g、焦三仙各9g、厚朴15g、焦檳榔9g、煨草菓9g、生姜15g。

服用方法:毎日1剤、600mlの水で煎じ、朝昼晩3回に分けて食事の前に服用する。

(2)湿熱蘊肺

臨床症状:微熱あるいは無熱、微悪寒、倦怠感、頭が重い、筋肉痛、渇いた咳、痰は少ない、喉の痛み、口の渇き、胸の不快、無汗か汗が出づらい、吐き気、食欲不振、食欲不良、便が緩くもしくは粘りがあり出にくく不快感を伴う。舌診で舌はピンク色、舌苔は白厚膩か薄黄色。脈は滑数か濡。

推薦される処方箋:檳榔10g、草菓10g、厚朴10g、知母10g、黄芩10g、柴胡10g、赤芍10g、連翹15g、青蒿10g(後下)、蒼朮10g、大青叶10g、生甘草5g。

服用方法:毎日1剤、400mlの水で煎じ、朝晩2回に分けて服用する。

2.3 通常例

(1)  湿毒鬱肺症(重度の湿邪により肺機能が滞る)

臨床症状:発熱、咳をするが痰が少ない、あるいは痰が黄色い、息苦しい、腹満、便秘などを伴う。舌全体が肥大化し、色が暗く赤い、舌苔が黄膩或いは黄色く、乾燥と見られる。脈が滑、数脈或いは弦滑。

推薦される処方箋:生麻黄6g、苦杏仁15g、生石膏30g、生薏苡仁30g、茅蒼朮10g、広藿香15g、青蒿草12g、虎杖20g、馬鞭草30g、乾芦根30g、葶藶子15g、化橘紅15g、生甘草10g。

服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液400mlに煎じて、朝・夕の2回分に分けて服用。

(2)  寒湿阻肺症(寒と湿が結びいたことにより、肺機能に支障を引き起こす)

臨床症状:低熱、身熱不揚(つよい熱感があるが体表部には甚だしい熱がない)或いは未熱、空咳、痰が少ない、倦怠感、胸が苦しい、胃の膨満感と不快感、或いは吐き気がする、下痢便。舌質が淡い或いは薄赤、舌苔が白い或いは白膩、脈が濡脈。

推薦される処方箋:蒼朮15g、陳皮10g、厚朴10g、藿香10g、草果6g、生麻黄6g、羌活10g、生姜10g、檳榔10g。

服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液400mlに煎じて、朝・夕の2回分に分けて服用。

2.4 重症例

(1)  疫毒閉肺症

臨床症状:発熱、赤面、咳をする、痰が黄色く、粘り気で少ない、或いは痰が血を伴う、呼吸が苦しい、精神が倦怠、口が乾き、苦く、粘り気がある、吐き気があり食欲がない、便の出が悪い、尿の量が少なく、色は深い黄色もしくは赤みを帯びている。舌苔が赤、苔が黄膩、脈が滑脈、数脈。

推薦される処方箋:生麻黄6g、杏仁9g、生石膏15g、甘草3g、藿香10g(後下)、厚朴10g、蒼朮15g、草果10g、法半夏9g、茯苓15g、生大黄5g(後下)、生黄耆10g、葶藶子10g、赤芍10g。

服用方法:日に1~2剤、水で煎じる。一回に湯液を100~200ml煎じて、日に2~4回に分けて、口服或いは経鼻栄養をする。

(2)  気営両燔症

臨床症状:高熱或いは大いに暑がる、異常に喉が渇き、水を頻繁に飲みたくなる。呼吸が促迫、意識が朦朧とし、あることないことを言う。視物錯瞀(物が見えにくい)、或は発疹、或いは吐血、衄血(鼻から血がでる)、あるいは四肢抽搐(手足がふるえる)、舌が絳色、舌苔が少ないあるいは苔がない、脈が沈、細、数、あるいは浮、大、数。

推薦される処方箋:生石膏30~60g(先煎)、知母30g、生地30~60g 水牛角30g(先煎)、赤芍30g、玄参30g、連翹15g、丹皮15g、黄連6g、竹葉12g、葶藶子15g、生甘草6g。

服用方法:日に1剤、水で煎じる。先に石膏と水牛角を入れ、後に残りの生薬を入れる。一回に湯液を100~200ml煎じて、日に2~4回、口服或いは経鼻栄養をする

漢方薬提案:喜炎平注射液、血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳静注射液。効能が近い漢方薬であれば患者の状況に合わせて、一種類使う。臨床の症状を観察しながら二種類合わせて使うのも良い。漢方注射液と漢方湯液を合わせて活用するのも良い。

2.5 重篤例(内閉外脱症)

臨床症状:呼吸困難、頻繁に喘息或いは自主呼吸を医療設備に頼らなければならない。神志昏昧、煩躁(いらいらする)、汗出肢冷(汗が出る、四肢が冷える)、舌質が紫暗(紫で暗い)、舌苔が厚膩あるいは乾燥、脈が浮、大、無根。

推薦される処方箋:人参15g、黒順片(附子)(先煎)10g、山茱萸15g、上記を煎じた湯液で漢方薬の蘇合香丸或いは安宮牛黄丸と一緒に服用する。

漢方薬提案:血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳静注射液、参附注射液、生脈注射液、参麦注射液。効能が近い漢方薬であれば患者の状況に合わせて、一種類使う。臨床の症状を観察しながら二種類合わせて使うのも良い。注射液と漢方生薬の湯液を合わせて活用するのも良い。

注:重度と重篤例漢方薬注射剤の推薦用法

漢方薬注射剤の使用は薬の説明書に従い、少量から始め、段階的に調整する原則として、推薦方法は下記通り。

ウイルス感染または合併軽度の細菌感染:0.9%塩化ナトリウム注射液250 ml+喜炎平注射液100 mg bid、または0.9%塩化ナトリウム注射液250 ml+熱毒宁注射液20 ml、または0.9%塩化ナトリウム注射液250 ml+痰熱清注射液40 ml Bid。

高熱伴意識障害:0.9%塩化ナトリウム注射液250 ml+醒脳静注射液20 ml bid。

全身炎症反応総合征あるいは/多臓器機能不全:0.9%塩化ナトリウム注射液250 ml+血必浄注射液100 ml bid。

免疫抑制:0.9%塩化ナトリウム注射液250 ml+参麦注射液100 ml bid。

ショック:0.9%塩化ナトリウム注射液250 ml+参附注射液100 ml bid。

2.6 回復期

(1)肺脾気虚症

臨床症状:息が短く、倦怠感、吐き気、便秘、舌質が淡くて太っていて(厚くなっている)、舌苔が白くて厚膩である。

推薦される処方箋:法半夏9 g、陳皮10 g、党参15 g、炙黄耆30 g、炒め白術10 g、茯苓15 g、藿香10 g、縮砂6 g、甘草6 g

服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液400mlに煎じて、朝・夕の2回分に分けて服用。

(2)気陰虚症

臨床症状:力がなく、息が短い、口が渇いて動悸して、汗が多い、低い熱あるいは熱がなく、空咳で痰が少ない。舌が乾き、脈は細く虚無力感がある。

推薦される処方箋:南北沙参各10 g、麦冬15 g、西洋参6 g、五味子6 g、生石膏15 g、淡竹葉10 g、桑葉10 g、芦根15 g、丹参15 g、生甘草6 g。

服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液400mlに煎じて、朝・夕の2回分に分けて服用。

九、隔離解除及び退院後の注意事項

(一)隔離解除及び退院基準。                

1.体温が正常に復して3日間以上。

2.気道の症状が明らかに改善された。

3.肺部映像学による急性滲出性病変が明らかに改善された。

4.連続2回の気道標本核酸検査が陰性であること(2回のサンプリング採取の間隔は少なくとも1日空けること)。

以上の条件を満たす方は隔離を解除し退院できる。

(二)退院後の注意事項。

1.定点病院は患者の居住地末端医療機関との連絡を取り、カルテ資料を共有し、適時に退院患者の情報を患者管轄区、または居住地の町内委員会と末端医療衛生機関に送るべき。

2.患者が退院した後、回復期に身体の免疫機能が低下し、他の病原体に感染するリスクがあるので、引き続き14日間の自己健康状況の監視を行い、マスクを着用し、できれば通風の良い一人部屋に住み、家族との近距離の接触を減らし、食事を分け、手洗いをしっかり行い、外出活動を避けることを勧める。

3.退院後2週目、4週目病院に再検査、再診することを提案する。

十、移送原則

弊委員会が発行した『新型コロナウイルス感染による肺炎症例移送案(試行)』に従い執行する。

十一、医療機関内感染予防及び制御

厳格に弊委員会の『医療機関内新型コロナウイルス肺炎感染予防及び制御技術ガイド(第一版)』、『新型コロナウイルス感染による肺炎防護中のよくある医療用防護用品使用範囲ガイド(試行)』の要求に従い執行する。