世界で最も高くつく中国の再開発、住民立ち退きに賠償金1億円も

(光復里区の廃墟)

現在、中国各地の大都市では旧市街地区の再開発計画が進んでいます。中国では再開発地域の住民は立ち退きに応じなければなりませんが、もちろんタダと言う訳ではありません。開発事業者にとって立ち退き賠償金が頭痛の種、高い賠償金で再開発計画がうまく進まない場合も少なくありません。

国際金融都市・上海の旧市街地域は世界で最も高くつく廃墟といわれています。特に旧市街・光復里地区は上海の中でも不動産価値急上昇中。不動産デベロッパーにとって「金のなる木の森」夢のようなエリアですが、住民の立ち退き問題がデベロッパーの悪夢になっています。光復里区は1930年から40年代に建てられた古い住居が密集するエリアですが、ここ20年、その光復里の周りを取り囲んで上海富裕層の豪邸が立ち並ぶようになりました。

(「釘戸」の夫婦、廃墟の中の家の前で晩御飯作っている)

光復里地区では2004年から古い住宅の解体と買収が始まっていますが,15年経った今でも再開発はあまり進んでおらず、光復里地区は一面に廃墟が広がったままです。光復里の「釘戸」(移転しない世帯)の中には「いつでも移転に応じますよ」と口にしながら1億円の賠償金を実際に手にできるのを待っている人も少なくないようです。周囲の豪邸街の住宅価格が上昇し、それにつられるように光復里地区の価値も急上昇、再開発が進まない光復里は世界で最も高価な廃墟となっています。

(「釘戸」の家、そのまま残っている)